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Aとフロイドはスカラビアの寮生たちと、朝食の準備をしていた。
「ネオンちゃん、もうその傷大丈夫?」
「もうほとんど痛みは無いですけど……」
フロイドはAの腕に指をさして大丈夫かと心配した。
Aはフロイドがそんなことを言ってくるなんて思ってなくて、目をぱちくりとさせた。
「へぇ、じゃあなんでまだしてるの?」
「ユウくんが心配性だからですね。外そうとしても、まだダメって包帯を巻かれるんです」
「ふ〜ん」
あはは、と笑うとフロイドはなんだか興味無さそうに言った。
Aは心配させないと思った直前に怪我して、結局はユウに心配させている。
ものすごくAは、ユウやグリムに申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
「……」
「ネオンちゃんさぁ、その下手な笑顔やめた方がいいと思うよ」
「……え?」
「さっきから、暗い顔してんじゃん。
オレや小エビちゃんたちが話しかけたら、その下手くそな笑顔浮かべるし……。なんか心配事でもあんの?」
む、と不機嫌そうな顔を浮べるフロイド。
そんなに顔に出てるのか、なんてAは考える。
「……そんなに顔に出てました?」
「うん。まあ、小エビちゃんとアザラシちゃんは気づいてないと思うけど」
「……ユウくんとグリムは、ここに来てから十分に睡眠もとれてないんです。ここから逃げ出したときだって、私が見た限りあんまり睡眠できてなくて。だから、心配で……」
二日ほど前のユウとグリムが、Aの脳内に浮かび上がる。
へとへとになり、寝ていないから隈もある姿。
「私、二人に心配かけないように、しているつもりなんですけど……。怪我して、また心配させて……。あの子だって、ユウくんだって、新しい世界で疲れているはずなのに……!」
ぼろ、とAの目から涙が落ちた。
フロイドは泣かせるつもりじゃなかったのか、若干焦った様子でAを見た。
スカラビアの寮生たちもびっくりした表情で、Aの方を見ている。
「ご、ごめんなさい……。泣くつもりなんてなかったのに……」
「……ネオンちゃん、休む?」
ぐすぐすと鼻をすすりながら、涙を拭うA。
Aの目の下には隈が出来ていることに、フロイドは気づいた。
「?……なぜ急にそんなことを、」
「小エビちゃんに出来てた隈、ネオンちゃんにも出来てるから」
「……」
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作者名:金平糖 | 作者ホームページ:(ヾノ・ω・`)ナイナイ
作成日時:2022年4月10日 15時