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わざとらしくみんなに聞こえるように呟く三人。
こころなしか背中は小さく見える。
「「はぁ〜〜〜〜〜〜〜……ションボリ」」
肩を落とし、とぼとぼとゆっくり鏡の方へ歩いていく三人。
「な、なんてあからさまな“引き止めてほしい”って態度なんだゾ!」
こんなものに引っかかる人なんているのか、そう思っているのか、グリムは目を見開いてびっくりしていた。
「──ちょっと待った!」
「……はぁ〜〜」
カリムは引き止めるとわかっていたのか、ジャミルは深いため息をついた。
「アズールはこの学校でもトップレベルの魔法士だ。スカラビアの成長のためにも滞在してもらったほうがいい!」
カリムが笑ってそう言うと、オクタヴィネルの三人はピタリと足を止めた。
「それに、せっかく訪ねて来てくれたヤツを無下に追い返すなんて、アジーム家の名折れだ」
「あぁ……カリムさん!なんて懐が深くてお優しい方なんでしょう!」
くるりとアズールが振り返り、にっこ〜という効果音がつきそうなほどの笑顔でカリムを褒めたたえた。
「もちろんですとも。僕で教えられることであればなんなりと!」
「料理や掃除のお手伝いなら、僕たち双子にお任せ下さい」
「そーそー。いつも店でやってるから、得意だしぃ」
ジェイドとフロイドも振り返ってそう言うと、カリムは嬉しそうに笑った。
「そいつは助かる!ジャミルの負担も減るだろう」
「俺のことはいいから……!
ああもう、全然聞いてないな」
やれやれと言うように頭を抱えたジャミル。
「よし、早速だがアズールの胸を借りて特訓だ!荷物を置いたら庭に来てくれ」
「了解しました。スカラビアのみなさん、どうぞお手柔らかに。フフフ……」
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作者名:金平糖 | 作者ホームページ:(ヾノ・ω・`)ナイナイ
作成日時:2022年4月10日 15時