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「直接カリムさんにお渡しして、しっかりと検品して頂きたい」
「カリムはそんなこと気にしないはずだ。だから俺が預かって……」
ジャミルの言葉を聞いていないかのようにスルーし、アズールは話を進める。
「ご安心ください。落し物の20%に当たる報労金を要求したりもしませんから」
「昨晩スカラビアのみなさんに働いた無礼についても、お詫び申し上げたいですし」
「手土産のシーフードピザも持って来たしぃ」
アズール、ジェイド、フロイドの順で話す。
一歩、また一歩と歩み寄る三人に、ジャミルは腕を組みながら怪しいと目を向ける。
「とにかく、絶対に直接会ってお渡ししたいのです。彼はもうとっくに起きていらっしゃいますよね?」
「だから、今日は都合が悪いと……
勝手に入っていくな!アズール!」
ジャミル言葉をスルーして、中に入っていくアズール。
「さ、ユウさんも参りましょう」
「遅れないで付いてきてねぇ」
「わかりました」
ニコニコと笑顔を浮かべながら、二人はアズールのあとを続いた。
ユウは戸惑いながらも、二人の後について行く。
「オクタヴィネルのヤツら、なんつー強引さなんだゾ……」
そう言いながら、グリムも歩いた。
ぼうっとAはその様子を見ながら、突っ立ったっていた。
「ん?A、どうしたんだゾ?行かねぇのか?」
くるりとグリムは振り返ってAに問う。
「あ、うん。そうだね、行こうか」
「ふなっ!オレ様は一人で歩けるんだゾ〜……!
つーかオマエ、怪我してるんだから、無理するな!」
「ごめんね。少しの間だけ、こうさせて」
「……許してやらなくもないんだゾ」
グリムはAの不安そうな声を聞いて、大人しく抱えられることになった。
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作者名:金平糖 | 作者ホームページ:(ヾノ・ω・`)ナイナイ
作成日時:2022年4月10日 15時