・ ページ29
スカラビア寮生たちにあっさり勝ってしまったジェイドとフロイド。
「く、くそ！一旦退却だ！」
「覚えてろよ……！」
「オラ、散れよ小魚ども！アハハッ！」
「みなさまのまたのご来店をお待ちしております」
悔しそうな顔を浮かべて、スカラビア寮生たちは、バタバタと去っていった。
「にゃっはー！！やったんだゾ！見たかコンニャロ〜！」
満面の笑みで喜ぶグリムに、アズールは眼鏡をかけ直しながら口を開いた。
「良い気分になっているところ恐縮ですが……。
オンボロ寮の三人には今の戦いで、傷付いた机や椅子の修繕費……。
および、巻き込まれた僕らの労働費を支払って頂きたいのですが？」
そういうアズールに、グリムは驚愕した。
「えーっ！？金とるんだゾ！？」
「タコ殴りにされそうなところを救ってあげたんです。安いものでしょう？」
当然だと言うように、にこりと爽やかに笑ったアズール。
だが、三人には嘲笑っているようにしか見えなかった。
「オレ様たち、スカラビアの揉め事に巻き込まれてひでぇ目にあったばっかだってのに……。
やっぱりこの学園には、ロクなヤツがいねぇんだゾ」
「……なんですって？」
はあ、とため息をつきながら泣き言を言うグリムに、アズールは顔を顰めた。
「スカラビアの揉め事、とは？」
「話せば長くなるんですが……」
ユウとグリムが口を開いて、説明する。
話が一段落すると、アズールが首を傾げた。
「スカラビアの寮長が圧政を……？」
「そう！寮生たちが毎日カリムに大変な目に遭わされてるんだゾ」
グリムが腕を組みながら言うと、アズールはありえないとでも言うように、さらに顔を顰めた。
「あのカリムさんが、そんなことを？」
「えー。ラッコちゃんって、そういうことするタイプなんだ？」
「あまりイメージにありませんね」
フロイドや、ジェイドもいつも笑っていて、おおらかなカリムを見ているので、想像がつかないようだ。
「副寮長のジャミルってヤツがめちゃくちゃ困っててよ。この学園にしては珍しくいいヤツで、オレ様ちょっぴり同情しちまったんだゾ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 296人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：金平糖
| 作者ホームページ：(ヾﾉ･ω･`)ﾅｲﾅｲ
作成日時：2022年4月10日 15時
