【ツイステ】お姉さんは監督生を護りたい3 (ページ17)

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「そうですよ。俺たち、もうカリム寮長にはついて行けません！
今のカリム寮長は、寮長の条件を満たしていない！スカラビアの精神に反しています！」

“寮長の条件”という聞きなれない言葉に、ユウは聞き返した。

「寮長の条件？」

「ナイトレイブンの七つの寮における寮長の条件は『寮の精神に一番相応しいものであること』──。
逆に、寮で一番でないのなら寮長の資格はない。決闘はわかりやすく“一番”を決める方法と言えるな」

なるほど、というようにユウたちは頷く。

「七寮それぞれ特色が違うから“ふさわしい”寮にもよるんだ。
たとえば、ポムフィオーレは、誰より熱烈な毒薬を作れる者が寮長になる伝統らしい」

“毒薬”という言葉に、グリムはびっくりする。

「ゲッ、なんか怖い寮なんだゾ！じゃあ、カリムはなんでスカラビアの寮長に選ばれたんだ？」

「前寮長の指名さ。カリムのそれまでの働きぶりと人徳が“寮で一番”だと評価されたということだな。
……アイツが指名されたときは、俺も嬉しかったよ」

思い出すように、口元を緩めるジャミル。

寮生はなんだか納得いっていないように、口を開く。

「それも、ジャミル先輩の助けがあったからじゃないですか！寮生はみんな知ってますよ」

「なんで前寮長はジャミル先輩を選ばなかったんだ！？」

「前寮長を責めるな」

寮生が思ったことを口に出すと、ジャミルが顔を顰めて『責めるな』と言う。

寮生は静かに口を閉じた。

「そもそも、アジーム家の親戚筋の人間が本家の跡取り(カリム)を差し置いて俺を選べるわけが……あっ！」

しまった、とでも言うようにジャミルは口を塞ぐ。

(なんだかわざとらしいなあ……)

全部知っているAは、ジャミルの行動をそう思ってしまった。