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辛そうに話す寮生たちを見て、Aは胸が痛んだ。

「スカラビア寮生でいられることが楽しかった。それなのに……」

「そう、カリムは本当にいい寮長だ。誰とでも分け(へだ)てなく接し、偉ぶることもない。
ああ、なんでこんなことになってしまったんだ……」

困り果てた、というようにジャミルは頭を抱えた。

「いい人だからこそ責められない、と……」

「あのよー。カリムのヤツ、医者にでも見てもらったほうがいいんじゃねーか?
言ってることがコロコロ変わるし、性格がまるで別人みてーになっちまうなんて、ちょっと変だろ?
なんか悪いもんでも食っちまったんじゃねーのか?」

「あるいは心の病気とか……」

ジャミルたちが毒味しているので、悪いものを食べたという可能性は低い。

カリムは顔に出やすいので、心の病気という可能性も低いだろう。

「……。確かに、その可能性も否めないな。
しかし、医者か。熱砂の国に戻れば、アジーム家お抱えの医者がいるが……。
今の様子じゃ、実家に連れ戻すのも一苦労だろうな」

「そんなぁ……」

「このままじゃ、俺たちが先に参っちまいますよ……」

一筋の希望が見えた、と思えばそれはジャミルの言葉によって遮断された。

寮生は残念そうに肩を落とす。

「今のスカラビアが抱えている問題は、つい先日までハーツラビュルが抱えていたものと似ている。
ハーツラビュルも、寮長の圧政に寮生が苦しめられていたとか……」

ジャミルは考える仕草をして、ちらりとAたちの方を見た。

ばちりとAとジャミルは目を合わせてしまった。

さっと即座に目を逸らしたAは、少し罪悪感が残った。

「……あっちは寮長であるリドルのユニーク魔法が怖くて、誰も逆らえなかったんだろうが」

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作者名:金平糖 | 作者ホームページ:(ヾノ・ω・`)ナイナイ  
作成日時:2022年4月10日 15時

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