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No side
「お前たちがカリムのやり方に不満があるのはわかってる。
冬休みに寮生たちを寮へ縛り付け、朝から晩まで過酷な特訓。不満を持たないヤツはいないだろう。
俺もカリムのやり方が正しいとは思っていない」
目を伏せるジャミルに、金色の短髪の男が声を荒らげた。
「じゃあ何故止めないんです！？」
「止めたさ、何度も。聞く耳を持ってもらえなかったけどな」
悔しそうな目でジャミルは訴えた。
グリムは腕を組んで、疑問に思ったことをぶつける。
「オマエら、そんなにブーブー言うなら、ジャミルじゃなくてカリムに直接文句言ってやればいいんだゾ」
「それは……その……」
正論を言うグリムに、紫色の髪の寮生が口篭る。
「なんだ、オマエら。ジャミルには言えてもカリムには言えねぇのか？
いくじがねぇヤツらなんだゾ」
呆れた、とでも言うようにため息を吐くグリム。
その頃Aは、難しい顔をしていた。
Aは知っている……カリムが代々の家系で寮長になることも、ジャミルが昔から従者だから寮長になれないことも。
全てを知っているからこそ、言えない。
悪く行ってしまえば、だいたいAは部外者だ。
部外者がとやかく言う筋合いはないのだ。
「ち、違う。俺たちだって言おうとしたさ、何度も！」
「でも、様子がおかしくない時の寮長は本当に大らかで、優しいいい人で……」
「こんなことになる前は、俺たち全員寮長のことを尊敬してたんだ。
どの寮よりも素晴らしい寮長だと思ってた」
寮生たちが次々に述べる。
そして、寮生たちは昔を思い出すように、思い出を語る。
「入学したばかりの頃、寮に馴染めなくて悩んでいた俺の話を親身になって聞いてくれた」
「授業のレベルについていけなくて学校を辞めようと思っていた時、朝まで特訓に付き合ってくれた」
「ちょっと大雑把で頼りないところもあるけど、俺たちはみんな寮長が大好きだったんだ」
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作者名：金平糖
| 作者ホームページ：(ヾﾉ･ω･`)ﾅｲﾅｲ
作成日時：2022年4月10日 15時
