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「本日はここまで!
明日の午前中は東のオアシスまで行進だ。徹底的にしごいてやるから、そのつもりでいろ!」
やっと訓練が終わったようで、私はちらりと様子を覗いた。
「はぁ……はぁ……。手も足もガクガクだ……」
「誰か、水……水をくれ……」
「明日も朝から砂漠を行進なんて……」
「寮長はどうしちまったんだ。前はこんなことする人じゃなかったのに」
寮生たちがカリムの話をする。
汗だくで、倒れ込んでいる寮生もいた。
「……」
「ぜ〜は〜……やっと終わった」
息切れしながら、膝を着いているユウくんとグリムを見つけ、私は即座に駆け寄る。
「ユウくん、グリム。大丈夫……?」
「A〜!やっと終わったんだゾ〜」
「はい、何とか……」
水の入ったコップを差し出すと、ごくごくと飲んだ。
「アイツ、さっきまで超ニコニコしたいいヤツだったのに、急に人が変わっちまったんだゾ。どうしたんだ」
グリムがそう言うと、近くにいたジャミルが口を開いた。
「きっと、寮対抗のマジフト大会や期末テストで、スカラビアの成績がふるわなかったことに……責任を感じているんだろう。
アイツは最近、ひどく情緒不安定なんだ」
「情緒不安定ってレベルじゃねぇんだゾ。まるで別人じゃねーか」
「俺もアイツとは長い付き合いだが、今のカリムとどう接したものかと困り果てている。
言動がコロコロ変わったり、急に横暴になったり……とにかく手に負えない」
はぁ、とジャミルがため息をつく。
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作者名:金平糖 | 作者ホームページ:(ヾノ・ω・`)ナイナイ
作成日時:2022年4月10日 15時