第35話(花火大会編) ページ36
拭っても、拭っても溢れてくるAちゃんの涙。
「泣き止んでくれんか」
そう俺が言うと、謝ってきた。
「ごめん、なさい……。止まりませんっ、」
「謝らんくてええよ。……Aちゃん、顔上げて」
俺と目を合わすように、Aちゃんは顔を上げた。
ほろほろと流れる涙は、まだ止まらない。
そんな姿すら可愛いなんて思った俺は、相当Aちゃんが好きなんだと実感した。
Aちゃんの顎を持って、そっと顔を近づけた。
Aちゃんも目を閉じた。
キスをすると、Aちゃんは顔を少し赤らめて、涙も止まったようだ。
「……ん、涙止まったな」
「れ、レトさん……今の……」
「……嫌やった？」
「いえ……、そんなことないです。嬉しい、です……」
ぽっとさらに顔を赤くするAちゃんが本当に可愛らしい。
「あーあ、真っ赤になって……りんごみたいや。もっかい、してええか？」
少しだけ意地悪をしたくなって、耳元で囁く。
ぴくりとAちゃんの肩が揺れた。
耳が弱い……、いいことを知った。
「こ、これ以上は、溶けます……」
赤い顔を見られたくないのか、手で覆って俺に背を向けた。
「まあまあそんなこと言わずに。な？あと一回だけ……」
「む、無理、です……！本当に溶けちゃう……のでっ、あ、」
Aちゃんの手首を取って、顔を見る。
ゆでダコのように赤いAちゃんの顔。
本当に可愛いなあ、なんて思いながら、オレは唇を寄せる。
ちゅう、とお互い吸い付くようなキスをした。
「……Aちゃん、」
「……は、い……」
「大好き……」
そう笑いながら言って、また俺はAちゃんを抱き寄せた。
花火はもう終わっていた。
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作者名：金平糖
| 作者ホームページ：(ヾﾉ･∀･`)ﾅｲﾅｲ
作成日時：2020年9月17日 14時
