第31話(花火大会編) ページ32
Aちゃんはふふん、と自慢げにポイを持って、金魚を見つめた。
俺も負けてはいられない、そう思ってポイを構えて取れそうな金魚を探す。
そして勝負の結果は──。
「……レトさん、零匹じゃないですか」
「うーん、すぐ割れてしもうた。それにしてもAちゃん三匹もすごいなぁ。これは完敗や……」
Aちゃんの勝利だった。
なんと俺は零匹で、Aちゃんは三匹。
「罰ゲームの内容決めてないですけど、どうします？」
Aちゃんがそう聞くので、俺はうーんと唸りながら考える。
Aちゃんはどんなのがええんやろうか、考えても思いつかないので、王道なものを出した。
「……王道に『ひとつだけなんでも言うこと聞く』なんて、どうやろ」
「いいですね」
ニコニコと笑みを浮かべるAちゃんに、俺は『変なこと企んでへんか？』と聞いた。
「いえいえ〜、そんなことないですよ？」
「うわー！怪しい！その笑み怪しいで！」
ニコニコ笑うAちゃんの笑顔は可愛いけど、本当に変なことを聞くのではないか、と少し思ってしまった。
ふと、時計を見ると、もうすぐ花火が打ち上げられる時間になっていた。
「ん、そろそろ花火が始まる時間やな。移動しようか」
「そうですね」
「離れるとあかんから、手繋いどこうや」
「……は、はい」
手を差し出すと、おずおずとAちゃんは俺の手を握ってくれた。
Aちゃんの手は小さくて、力を込めたらすぐ折れてしまいそうだ。
ふと、Aちゃんの顔を見ると、恥ずかしいのか頬を染めていた。
「なに、照れとんの？Aちゃんは可愛いなぁ〜」
「か、からかわないでくださいっ」
「ん〜？からかってへんで。ほんまのことを言っただけやで」
更に顔を赤くするAちゃんは本当に可愛らしい。
前を見ると、キヨくんとAちゃんの友達の紅葉ちゃんが見えた。
「あれ？あの二人って、キヨくんと紅葉ちゃんちゃう？」
「え？どこですか？」
「ほら、あそこ」
Aちゃんは紅葉ちゃんを見るなり、近づいて行った。
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作者名：金平糖
| 作者ホームページ：(ヾﾉ･∀･`)ﾅｲﾅｲ
作成日時：2020年9月17日 14時
