第23話(花火大会編) ページ24
「ん、そろそろ花火が始まる時間やな。移動しようか」
「そうですね」
「離れるとあかんから、手繋いどこうや」
「……は、はい」
レトさんが手を差し出してくれたので、私も差し出した。
ぎゅっと手を繋いで、歩いていく。
レトさんの手は私の手より大きくて、暖かった。
「なに、照れとんの？Aちゃんは可愛いなぁ〜」
「か、からかわないでくださいっ」
「ん〜？からかってへんで。ほんまのことを言っただけやで」
にこにこと、笑うレトさんに私の頬は赤みを帯びる。
「ん、あれ？あの二人って、キヨくんと紅葉ちゃんちゃう？」
「え？どこですか？」
「ほら、あそこ」
レトさんが指を指した方向を見ると、キヨが笑いながら、紅葉の頭を撫でていた。
キヨが離れたと思ったら、紅葉の顔は真っ赤で『今日が命日』だとか言っていた。
「んなわけないでしょ」
私は紅葉の頭を軽く叩いた。
びっくりしたようで、紅葉はばっと私たちの方を振り返った。
「れ、レトさんにAちゃん……」
「命日……ってどういう意味なん？」
首を傾げるレトさんに、私は『きっと、ろくな理由じゃないと思いますよ』と言う。
「えっ！そんなことない！」
紅葉はそんなことないと否定した。
本当かな〜？と言うように、さっきのことを話した。
「へえ、どうせ“キヨさんに頭撫でられた〜、死ぬ〜”みたいなこと思ってたんじゃないの？」
「うっ、」
図星だったようで、顔が少し赤くなる紅葉。
「まさかあの状況を見られ──」
「うん、バッチリ」
「そやなぁ。キヨくんがあんなに柔らかい表情初めて見たわ〜。なんか新鮮やな」
そう言って笑うレトさんに、紅葉はびっくりしたように『そうなんですか！？』と言う。
レトさんは微笑みながらこくりと頷いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 20人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：金平糖
| 作者ホームページ：(ヾﾉ･∀･`)ﾅｲﾅｲ
作成日時：2020年9月17日 14時
