【ナカノヒトゲノム 】一目惚れ、しちゃいました。【鬼ヶ崎カイコク】2

79.CRAZY PARTY ページ31

あれよあれよという間に可愛らしいメイド服に着せられた。

そして、連れてこられたのはお城みたいなところ。

アカツキくんが言っていた、ドールハウスだ。

周りには、狐のお面を被った人達。

恐らく攫われた娘たちだろう。

「さあ、ヴェロニカ。お茶を淹れてちょうだい」

すとん、とキッカさんはそう言いながら、王の玉座に座った。

「今日は、そうね……。アールグレイの気分だわ」

「……」

私は黙りのままで、動かないままで突っ立っていた。

「聞こえないの、ヴェロニカ！解雇しちゃうわよ！」

プリプリと怒るキッカさん。

解雇されるのも嫌だし、このまま言いなりになるのも嫌だ。

嫌だけど……、解雇よりはまだマシだ。

「……、すみません。すぐ淹れてきますね」

小さく、溜息をついた。

お茶を淹れて、おぼんに乗せた。

「……早く助けに来て……。カイさん……」

ボソッと不意に出てしまった呟いた声は、カチャカチャと動く度に鳴る、ティーカップの音にかき消された。

「……お待たせしました」

満足気にニマニマと笑うキッカさん。

今すぐこのお茶を床にぶちまけてやりたい、と思ってしまった。

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