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相葉「まだ作ってないから、取り消しできますよー」
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カウンターの下側には、もうサンドイッチも紅茶も用意できていた。
だけど、相葉さんはわたしの隣でそう二人に声をかけて。
わたしは驚いて、相葉さんを見上げた。
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櫻井「あ、ほんと？」
相葉「そんかわり、今度きた時はいっぱい飲んでってね！」
櫻井「いっぱいって……飲み屋じゃないんだから(笑)」
相葉「ゼミの子つれて、センセイの奢りできて♥」
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「でも……」と、もうサンドイッチもミルクティーも、準備できている事に気が付いているのか。
ＯＬさんの方は遠慮がちにそう言ったけど。
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櫻井「大丈夫だよ、いこう」
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そう言って、櫻井センセイは彼女の荷物を持って立ち上がった。
「もう！」って、小さくＯＬさんはそう言ったけど─────嬉しそうで。
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櫻井「またくるよ、学生もいっぱいつれて(笑)」
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そう、センセイは残して。
小さく相葉さんに頭を下げて─────お店を出て行ってしまった。
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ぽん、ぽん。
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店長の大きな手が、わたしの頭を撫でる。
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A「……っ、…………」
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それで。
わたしの櫻井センセイへの小さな恋は、終わったのだ。
春になったら一瞬でさいて、ほんとうに本当に短い間だけしか咲かないけれど─────だけど、確実に人の心を打つ桜。
それと同じように。
一瞬で恋に落ちたのに、あっという間に終わってしまった恋だった。
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相葉「Aちゃん、ちゃんと食べてる？」
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「顔色よくないよ」、といって─────あのＯＬさんに出すはずだったサンドイッチを勧めてくれた。
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A「いら、な……っです……！」
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半泣きで。(嘘だ、大泣きだ)
ＯＬさんが憎けりゃサンドイッチも憎し、みたいになっていたわたしに、相葉さんはでも「お茶とサンドイッチに罪はないしよ〜？」と言って。
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相葉「ちゃんと食べて、寝て……ってしないと、やっぱね、魅力が半減しちゃうと思うよ！」
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そう言って、すすめてくれて。
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A「おいひいれす……」
相葉「そうでしょそうでしょ♥」
A「おいひー…」
相葉「そっかそっか、泣くほどおいしいか♥」
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わたしはそのサンドイッチを手に取って─────食べたのだ。
これがきっかけで、カフェ 嵐でほぼほぼすべての食事をとるようになったのだった。
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作者名：12（とうふ）
作成日時：2015年4月1日 23時
