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A「パテックフィリップ……」
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時々来店していたその女の人は、どんな人かと言われれば「ＯＬさん」だ。
だけど、席に通した時にメニューを持ったその手首に見えた時計に。
わたしが憧れてやまないその時計の─────レディースを身に着けているのをみて、思わず、声に出てしまった。
驚いて顔を上げたそのお客様に、わたしは「し、失礼いたしました」と頭を下げると、ＯＬさんは笑ってミルクティーとサンドイッチを注文した。
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A「相葉さん、相葉さん！」
相葉「ん〜？」
A「あの人！あの時々来られるＯＬさん！」
相葉「うん」
A「あの人パテックフィリップつけてるんです〜〜〜〜！(≧∇≦)」
相葉「へえ、そうなんだ♪」
A「多分！ すごーい！本物見れると思わなかった！」
相葉「そんなに嬉しい？(笑)」
A「そりゃ！ だって２４０万８千４００円ですよ！」
相葉「細かいなー(笑)」
A「だって憧れですもん♪」
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あのＯＬさんみたいに、働くようになって。
そうしたらわたしにも手が届く夢なのかも……なんて。
そう思っていたんだけど。
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♪
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その後来店したのは、櫻井センセイで。
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櫻井「ごめん、遅れた」
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そう言って、席を通そうとするわたしを制して、ＯＬさんの席にまっすぐ向かって、櫻井センセイはＯＬさんのテーブルに。
当たり前の様に座った。
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A(え…………)
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思わず、注視してしまう。
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A(ふたり……)
A(知り合い、だったの……？)
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いつも別々のタイミングで来店されてて、一緒になる事はなかった二人。
その二人が知り合いだったなんて、驚きだった。
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櫻井「何か頼んだ？ ……え？飯、これからなの？ どっか食いに行く？」
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そう言ったセンセイに、ＯＬさんは「いいよ、別に。あんまり時間ないんでしょ？」って言った後、「ありがとね」って言ってふんわりと笑った。
その二人をみていると。
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A(ああ……)
A(この二人って、付き合ってるんだ……)
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お揃いのその時計と。
パリッとしたＯＬさんの雰囲気が急にふんわりした事と。
そんなＯＬさんを見る、センセイの愛しくてしょうがないって目が、わたしにそう告げた。
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作者名：12（とうふ）
作成日時：2015年4月1日 23時
