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相葉「…………。」
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信じられない事が起こった時、人間って絶句するんだ……なんて、どこか他人事に思いながら俺は、言葉を失っていた。
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相葉(ウソ……)
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そう否定してみても、それを上回る期待と希望が「いや、彼女が嘘じゃないって言った」と、俺に言う。
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相葉「いつ、から……？」
A「最初から」
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間抜けな俺の質問に、彼女は凛として答えた。
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A「バイトの面接で─────きた、初めて会った時……です」
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思いがけない告白に、頭はパニックになる。
だって、そりゃそうだ。
俺の記憶にある限りでは、惚れっぽい彼女が一番最初に好きになったのは─────この店で初めてオーダーをとった櫻井先生だったのだから。
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相葉「……んで、」
A「え？」
相葉「なんで言ってくんなかったの！」
A「えぇ？！」
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オトナのくせに、オレは今まで我慢して過ごした３年。
それがもっと短い時間でもよかったんじゃないか？遠慮なんて必要なかったんじゃないか……って知ると、理不尽にも、自分よりずっと年下の彼女を子供みたいに責めた。
だけど、彼女だって俺に負けてない。
彼女は唇をとがらせて─────
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A「だって相葉さんが『彼女なんていらない』って！」
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……と。
そう、言った。
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相葉「え、えぇ……？」
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そんな事、言った記憶がない俺に彼女が「今日も言ってましたよね？」と。
俺のせいだ、と言わんばかりに反撃してきた。
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A「相葉さん、この３年ずっと……誰に好きって言われても『仕事が楽しいから彼女なんていらない』って……そう、ずっと言ってたじゃないですか……」
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そういわれて─────俺は、は、と気付く。
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相葉(え……)
相葉(えぇえええ〜〜〜〜〜〜〜？！)
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確かにそれは、よく使う。
客だったり、業者だったり、臨時のバイトで入ってきたり─────
この店以外の場所でなら、ゾンザイにできる存在に「好きだ」とか「付き合ってほしい」って言われた時の方便だ。
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A「だから……わたし…………」
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そう言って。
そこまで言って、溜まらず俯いた彼女を、俺は思わず抱きしめた。
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作者名：12（とうふ）
作成日時：2015年4月1日 23時
