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ちゅ。
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爪に、相葉さんの薄い唇が触れる。
ちゅ、ちゅ、ちゅ……と、両手を手にとって上側に重なっていた右手の指先にキスした後、今度は顔を傾けて、下側にあった左手の指先にもキスを落とした。
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A(なんて)
A(なんてきれいな)
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伏せられた目は、長い睫と瞼の帳でよく見えないけれど。
顔を傾けられる事で生まれる顎のラインは、驚く程美しくて─────思わず見惚れてしまう。
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A(どこ行っちゃったの……)
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いつもの太陽みたいな相葉さんはいない。
どちらかと言うと月で。
この人があの、「うひゃひゃ」って笑うあの人と同じ人だなんて、信じられない。
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A「……っあ、……」
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そんな事を考えていたら。
指先に触れていただけの唇が開いて─────チロリ、と。
わたしの指先を舐めた。
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相葉「…………(笑)」
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わたしが顎のラインや鎖骨。
首筋なんかに見惚れている間に、気が付くと相葉さんはわたしを見ていて。
わたしと視線が合うと、相葉さんはイタズラっこみたいに笑って─────
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A「っあ、ぃ………っ//」
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指を第２関節まで、パクリと口に含んだ。
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A「ちょ…も、怒りますよ？！」
相葉「♪」
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相葉さんはふふ、と小さく笑う。
だけど。
だけどその一瞬後には、太陽じゃなく。
月みたいに静かに笑って─────指に舌を、絡ませた。
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A「ぁ、あ…っ、や……！」
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「おいしくできたかな？」って、直前に言った言葉に従うように。
口の中に含まれた薬指と中指を、丁寧に舐めあげられる。
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A(うそ……)
A(うそ、ヤだ……うそ……)
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指先って、カラダの中でも物凄く敏感なんだってきいたことある。
薬指なんて、心臓につながってる指なんだって、きいたことだってある。
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A(指先が……)
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指の先に心臓でもついてるんじゃないかと思うくらい、ドクンドクンと脈打つのを感じる。
それくらいに敏感になったその指の腹に。
節に。
指と指の間に─────生温かく、トロリと濡れた舌が。
何か違う意思をもった生き物みたいに、這う様にわたしの指を撫でまわしたのだった。
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作者名：12（とうふ）
作成日時：2015年4月1日 23時
