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松本「現に今食ってるソレも、あの人が作ったモンだし(笑)」
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松本さんはそう言って、ニッと笑った。
わたしはくわえたままのスプーンを落っとこしそうになって、あわててまた加えなおす。
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松本「ソレね、あの人が賄で出してって言って作り置きしてったヤツなの」
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この日。
わたしは朝、相葉さんと顔を合わせて一緒にご飯を食べた。
その時は「今日はAちゃんも、よろしくねー」って言ってただけだった。
昼に食べたランチのセットお店のもので─────それだって、相葉さんの作るいつものものだ。
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A(これ……)
A(これ、そっかぁ……)
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そうか、いつもと変わらないはずだ。
だってやっぱり、相葉さんが作ったオムライスだったんだから。
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A(…………なんだ)
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毎日食べてる、相葉さんの料理。
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A(なあーんだ・笑)
A(わたし、ちゃんと解ってたんだ)
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誰が作っても変わらないって思ってたけれど、そうではなくて。
逆に─────相葉さんが作ったものだって、ちゃんと。
舌が。
カラダが。
わたしが─────解っていたって事なのだ。
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そんなことがあって。
わたしは、その印象の方が強くて─────あんな濃い顔をしていたのに、松本さんの事が記憶からすっぽり抜けていた。
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A「あの人の事かぁ……」
相葉「あれ？ 珍しい！ だっていっつもなら『かぁっこいい〜』ってなってるトコじゃない？」
A「え〜〜〜〜… だってあの人、指輪してましたもん」
相葉「なんだそれ(笑)」
A「最初に挨拶した時にそれが見えたから、もう最初っから『あ、誰かいるんだなー』って思ったら対象外でした」
相葉「……………………。」
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わたしがそういうと。
相葉さんは「Aちゃんって……」と、ため息をついて─────
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相葉「Aちゃんって、ほんと……好きになるのも早いけど、冷めるのも早いよね」
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呆れた様に、そう言った。
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A(あ、ほら)
A(また)
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相葉さんが、片頬を上げてシニカルに笑う。
いつもはお日様みたいなのに、急に温度を感じなくなる─────不思議な瞬間。
わたしはもう３年もみてきたその笑みに、負けないように「だって期待できないのに好きでいたってしょうがないじゃないですか」と言い返したのだった。
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作者名：12（とうふ）
作成日時：2015年4月1日 23時
