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相葉「えーと……あれは、３年前の今頃だったよね？ 大学のセンセイの……何て言ったっけ？」
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そう。
３年前の春。
わたしが恋をしたのは─────春になると、満開に咲き誇るあの花の名前を冠した大学のセンセイ。
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相葉「そうだ、櫻井センセイだ」
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一昔前の演出みたいに、相葉さんがポン！と開いた手のひらの上に、グーを置いて「わかった！」みたいな態度で言う。
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相葉「確か、そんな名前だったよね？」
A「……。」
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えぇ、そうですよ。
下の名前は翔っていうんです。櫻井 翔っていうんです。
(きれいな名前でしょ？ 顔もキレイなんです)
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相葉「コーヒーいっつもブラックで飲むさぁ」
A「…………。」
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そうそう、そうですよ。
相葉さんのブレンドが大好きで。
週替わりのブレンドをあの人、楽しみにしてこの店に通ってるんです。
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相葉「彼女がいっつもミルクティーの」
A「……………………。」
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そうそう、そうなんですよ。
どっからみても仕事できそうな、パリッとしたOLさんね。
まさかのあの人が櫻井センセイの彼女だったなんてね。
最初、別々で来店してたから二人が知り合いだなんて知らなかったのよね。
だからね、ショックだったよね。
好きだったけど、お客さんだし。
声を掛けられずにいた、あの人が─────まさか、別の常連さんと付き合ってた、なんてね。
(ああ、でも声かけなくてよかった)(ほんとよかった！)
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A(ぜんぜん)
A(ぜんぜん、表情違うんだもん……)
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パリッとしたOLさんも、櫻井センセイと一緒のテーブルに座った時はびっくりするくらいふにゃん、って可愛い顔になってて。
それを見るセンセイも─────すんごいやさしい表情で。
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A(告白する間もなく、振られたんだよね)
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すっかり忘れていた事だったけれど、相葉さんの一言でいろんな思いがよみがえってきて、鼻の奥がツーンとする。
そんなわたしをみて、相葉さんが「Aちゃん……」って言うから。
だから「ごめんね」って謝るのかと思ったら。
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相葉「………………わっすれない〜♪」
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そう歌うから、思わずわたしも「恋心〜♪」って続けちゃって。
その後「……ってB'zじゃないですか！！」ってノリツッコミしたら、いつの間にか涙は引っ込んでいた。
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作者名：12（とうふ）
作成日時：2015年4月1日 23時
