……15 ページ15
.
A「あの人、誰ですか？」
.
.
わたしが二宮さんの名前を知ったのは、翌朝の事だ。
いつものようにわたしが開店準備を手伝いにカフェ 嵐へ行くと、入れ違いで二宮さんが出てきたのだ。
.
A(ここに)
A(ここに、泊まってたの……？)
.
もしかしたら、一晩中相葉さんとお話をしていたのかも知れない。
そう思ったけれど─────相葉さんがあくびと背伸びをしながら現れたのは、それから３０分も後の事だった。
.
相葉「Aちゃん、おはよー…」
.
白いTシャツの裾から手をいれて、お腹をかきながらそう挨拶してくれた相葉さんにおざなりに「おはようございます、お臍見えてますよ」というと、わたしは「あの人、誰なんですか？」と二宮さんの事を尋ねた。
.
相葉「ニノ？」
A「ニノ……？」
相葉「二宮 和也、ってゆーの」
A「何してる人なんですか？」
相葉「フォトグラファー」
A「なんで、ウチにいたんですか？」
相葉「今度お店かすから」
A「え！？」
相葉「ちょっと写真見せたい人がいるけど、個展する程そんなカシコマッタもんじゃないから店に飾らせてくれないかって」
A「へ、ぇ……。 お友達なんですか？」
相葉「昔、ちょっとね」
A「昔って？」
相葉「気になる？」
A「え？」
相葉「ニノのこと。そんなに気になる？(笑)」
.
気に、なる……？
そりゃあ─────気になるだろう。
.
A「すこし……」
相葉「どこが？」
A「えと、すっごい猫背だなって」
相葉「あは(笑) それから？」
A「あと、ぎっちょなんだーって」
相葉「ぎっちょ？」
A「左利き」
相葉「あー、そうだね。うん。そうそう。で？」
A「で、って……」
.
いつの間にか、わたしが質問される側になっていて。
わたしは、何だか二宮さんの事を不躾に聞いたのが申し訳なくなってきて、だんだん声が小さくなってしまう。
.
.
相葉「好きになっちゃった？」
.
.
あ。
まただ。
片頬をあげて─────温度のない目で「どう？」と、シニカルに笑う。
質問を繰り返されて、わたしは相葉さんの言葉を反芻する。
.
A(すき……？)
A(いま、名前を知ったばかりなのに？)
.
そう、否定する言葉が出てくるけど─────わたしの答えはもう、出ていた。
.
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1075人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：12（とうふ）
作成日時：2015年4月1日 23時
