……11 ページ11
.
相葉「それから……」
.
.
櫻井センセイの事があって以来、わたしはバイトが入っていない日も、開店準備や片づけを手伝うようになった。
それまで学食とここの賄でなんとか食いつないでた……というか。
一人暮らしを始めてから、マトモにご飯を食べていたのはここの賄いくらいだっていう事を、正直に話したら、相葉さんが「ここでご飯出したげるよ」って。
「そんかわり、朝晩ちょこっと手伝ってね」って。
そう言って。
わたしはそれを受け入れたのだ。
バイト先のカフェ 嵐は、一人暮らししてる部屋から近い。
わたしは自分の家の冷蔵庫に入ってるのは飲み物やデザートだけになって。
今日に至るまで基本、ここで食事を済ませるようになったのだった。
.
.
.
.
.
そんな、バイト初めてすぐの頃の事を思い出していると。
.
相葉「それからさ〜〜〜〜」
.
相葉さんは両手を組んで、片方だけ頬を上げてシニカルに笑って。
.
.
相葉「それから、フォトグラファーのニノ！」
.
.
その名前を聞いてわたしは「ウッ！Σ(*ﾉｪﾉ)」と蛙がつぶれたみたいな声を上げた。
.
相葉「Aちゃん、ニノの事も好きだったよね〜〜〜〜〜ぇ？」
.
そう。
そうなのだ。
櫻井センセイに勝手に一人失恋して─────その後。
わたしは、写真家の二宮さんの事が好きになった。
.
相葉「ねーぇ？ あの頃、しょっちゅう店に来てたもんねぇ？」
.
二宮さんという人は。
どんな人か、いまだによくわからないんだけど─────だけど。
コドモのわたしがみても、ハッとするような色気をまとっていて。
それでいて、どこかいつも寂しげな、そんな人だった。
.
相葉「俺が『どこがいんだよ、あんなのの』っつったら、『猫背に抱きつきたい』って言ってたよね〜〜〜〜？」
A「ぎゃあ！ ないしょ！！それ内緒にするって言ったのに！！！！/////」
相葉「別に本人に言った訳じゃないもん、内緒にはしてるもーん」
A「だって！！誰かに聞こえたらどーするんですか……！！///////」
.
そう。
二宮さんというその人は、何か解らないけれど、なにかとても重い過去を背負ってる様な。
そのせいで猫背になってるんじゃないかなって、勝手に思うくらい─────相葉さんを明とするなら、暗の人だった。
.
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1075人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：12（とうふ）
作成日時：2015年4月1日 23時
