霧の中Ⅱ【嘴平伊之助】 (ページ37)

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第78話ページ37

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『はぁっはぁっ…』

驀踟…

ｽﾞｷｯ

『っ…！』

昔…驀踟に付けられた傷が痛む。

『お母さん…お父さん…』

必ずあいつを殺すから…

絶対に仇を打つから…

『…驀踟。』

伊之助「A！！」

『ﾊｧ…ﾊｧ…伊之助…？』

伊之助がすごいスピードで向かってくる。

『え、ちょっ！止まれ！伊之助！！』

伊之助「猪突猛進！猪突猛進！！」

ﾄﾞｶｯ!

伊之助は私に体当たりしてきた。

その衝撃に耐えきれず、私は伊之助に押し倒された。

ﾄﾞｻｯ

『…痛ってぇ。どうしたんだよ…伊之助。』

伊之助「ふははは！！まいったか！！」

特に意味はなさそうだな…

『離れろ…重い。』

伊之助「情けねぇやつだな！！」

『なんだよ。伊之助。なんか用事でもあったのか？』

伊之助「暇だ！！俺と戦え！！」

暇って言ったか？こいつ…

『馬鹿かお前！柱稽古はどうした！？まさか抜け出してきたんじゃ…』

伊之助「おう！！逃げてきたぜ！！」

やっぱりなぁーーーー

『この馬鹿猪！とっとと戻れ！』

今こいつは悲鳴嶼さんの所か…

『はぁー。…私は今から大事な任務があるんだよ。』

伊之助「任務だと！？俺も行くぜ！！」

『ほんとに馬鹿。来んな。これは私の任務だ。』

伊之助「お前は情けねぇから俺様が一緒に行ってやる！」

どう言っても着いてきそうだな…

『…。』

いや待て……

相手は驀踟…

上弦の鬼だ。

お母さんやお父さんのように、殺られてしまう可能性もある…

また伊之助が傷つけられてしまう……

『っ…ダメだ伊之助。すぐに稽古場に戻れ。』

伊之助「断る！！俺に命令すんじゃ、、、」

『戻れって言ってんだ！！』

伊之助「んだよ…どうしたんだよ。」

『これは私の任務だ！お前には関係ない！！』

伊之助「あ！おい！！」

『いいか、伊之助。着いてきたら…お前を殺すからな。』

伊之助「…ﾁｯ。」

私は伊之助を置いて驀踟の元に向かった。

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