霧の中Ⅱ【嘴平伊之助】 (ページ26)

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第67話ページ26

『い、伊之助！！』

…忘れていた。

俓獅が死ぬ前、血気術を使っていた。

その血気術は私に向けたものじゃなかった。

伊之助へ向けたものだったんだ…

『くそ！！どうしたら！！』

また、伊之助が、、、

伊之助「ふっ、ふははは！！！」

は？

『伊之助…？何で、生きてんだよ、、』

伊之助「俺は伊之助様だぞ！！身体を自由に動かせるのはあいつだけじゃねぇ！！全部急所を避けてやったぜい！！」

そ、そんなことが出来たのか、、

『ば、馬鹿猪！心配させんな！！』

伊之助「凄いだろ！！凄いだろ！！俺様は！」

本当に馬鹿だなこいつは。

『毒針が刺さったんだからあんま暴れんなよ。』

伊之助「毒なんて効かねぇ！！」

『…なぁ伊之助。』

伊之助「なんだ！？」

『その、あ、ありがとな…伊之助が居なきゃ倒せなかった。』

本当に伊之助がいないと死んでいたかもしれない。

伊之助「…。」

あれ？

何も言わない。

『ねぇ、聞いてんの？』

伊之助「……めろ。」

『え？なに？』

伊之助にしてはとてつもなく小さな声だ。

伊之助「やめろって言ってんだ！そういう事言うの！」

『な！なんでだよ！感謝しただけじゃねぇか！』

なんだこいつ！

伊之助「お前がそういうこと言うとほわほわすんだよ！」

ほわほわ、、、？

『ほわほわって、なんだ？』

伊之助「知らねぇよ！！知らねぇけどなんかほわほわすんだよ！！」

なんだそれ。

伊之助「とっとと帰るぞ！！A！！」

『なんなんだよ…。』

伊之助「腹減った！！」

『飯の前に蝶屋敷だぞ。怪我してんだから。』

伊之助「俺は怪我なんてしてねぇぜ！！」

『ったく…。』

伊之助「おい、A！！また天ぷら食いに行こうぜ！！」

『あぁ。そうだな。』

もう赤目玉とは言わないのか…

Aと呼ばれた事が少しだけ嬉しかった。