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＃９３８ ページ13
翔side
あー、胸が痛い。
本当はめちゃめちゃ反論したい。
今すぐ抱きしめてあげたいし、何よりもずっと傍で見守っていたい。
でも、それはAのためにならないから。
翔「Aはたくさんの人の力を借りて前に進むの。その為には俺らだけの力じゃダメなんだよ。」
A「……」
翔「新しい病院も新しい先生もAが前に進むために必要なの。」
Aは何か言いたそうに唇をぐっと噛んでいる。
きっと言いたい事はひとつだけなんだろう。
『先生たちがいい』
俺らを信じて頼ってくれるのは物凄く嬉しくて有難いけど、Aの船はもう5人の力だけじゃ進めることが出来ない。
きっとこの苦しみから抜け出せなくなってしまうから。
ずっとこんな生活をさせることになってしまうから。
だからどんなにつらくてもAを新しい場所へ送り出すと決めたんだ。
翔「Aなら大丈夫だよ。」
A「大丈夫じゃないよ…」
そうポツリ呟いた瞬間、Aは立ち上がって診察室を出ていってしまった。
翔「Aっ…！！」
嫌われる覚悟で話をしようと決意したけど、やっぱりつらいや。
こんな先生でごめんね…
Aの気持ち分かってあげられなくて…ごめん。
本当に…
ごめん……
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作者名：蒼紗仁真 | 作成日時：2020年12月12日 23時
