私を変えてくれたのは5人の先生。RESTART13 (ページ34)

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潤side

A「じゃあなんでカッター取り上げるの？」

涙で揺れているその瞳がまっすぐ俺らに問いかける。

和「さっきも言ったでしょ？病棟内持ち込み禁止だから。」

ちゃんと確認してなかった俺らも悪いけどね。

これからは徹底されるという通知が今さっきあったばかりだし。

翔「何度も言ってるけど自傷行為を否定してるわけじゃない。Aにとって今はそれが必要なことも分かってるしみんなでその話共有してる。」

退院するためには自傷行為も辞めなきゃいけないんだけど、何年もやっていたことをいきなりスパッと辞めることは簡単じゃない。

それはA自身がよく分かっているはず。

翔「今すぐじゃなくてもいいから違う方法見つけていこうよ。」

潤「傷は治さなくていいから辞められるようにって言ってた目標、もう1回チャレンジしてみよう。」

過去の傷をまっさらに消すことが全てじゃない。

傷は残ったままでもいいと思うし。

大野さんがよく言ってる。『傷は生きた証だ』って。

Aは俯いたまま、それでもしっかり頷いた。

A「でも、また失敗しちゃうかも…だよ？」

和「そしたらまたチャレンジすればいいじゃない。Aの治したいって気持ちがあれば何回でも。」

ニノのその言葉にAはようやく笑顔を見せた。