【改】私を変えてくれたのは5人の先生。RESTART３ (ページ36)

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翔side

抱き上げてやっと耳元で微かに聞こえる泣き声。

A「…っ、……わ…っ！」

口の動きとかすかに聞き取れる言葉で繋がったのは『こわい』。

本当は何が怖いとか状況を聞きたいけどこの状態だと筆談も出来ないし口の動きを読み取るのも難しい。

それでもなおAは必死に何かを訴えようと口を動かしている。

それに声が出ていないことにまだ気付いていないようだ。

翔「A、落ち着いて。」

A「くっ…っ！……っ、て……」

和「うん、わかったから。落ち着こう？」

パニックまではいかないけどかなり興奮してる。

この状態で話そうとし続ければ過呼吸にもなりかねない。とにかく話そうとするのを制止してなんとか呼吸を落ち着かせる。

今までも失声症になったことのあるA。

でも嗚咽が聞こえなくなる程ではなかった。

それに2週間もすれば発音もきれいになっていた。

翔「A、今自分で声出してごらん？聞こえる？」

Aは聞こえない声を出した後、口を触り喉を触り…喉のあたりを強く抓った。

和「…やめよ？痛いからね。」

興奮が落ち着いたAにとって伝えたかったことが何も伝わっていなかった現実はあまりに厳しく、大きすぎた。