west×Music Parodexi 2 ※BL

1. red side ページ41

7月7日、土曜日の昼



学生にとっては、長い長い1週間が終わり


楽しみにしていた休日。



いつもの学校への登下校の道とは


反対の道を、2人で歩く。




金曜日の放課後に



教室で熱弁した時から俺のことを



呆れを隠しきれない目で見ている隣のコイツは



まだ日が沈まない夏空へ目線を向けていた。



...


「あんな、あそこの丘で、日が落ちる夕暮れ空を51日間続けて見届けたら恋が叶うんやって!」



金曜日の6時間目終了のチャイムと共に


急いで彼の席に向かい、そう伝える。



「...は?」



呆れた目で俺を見るコイツは藤井流星



家が隣で、小さな頃から仲良くしていた、いわゆる幼馴染




幼稚園、小学校、中学校、そのまま一緒の高校に入学した俺らは



何かの縁なのか、1年2年とクラスは同じになり



今も、昔と変わらず仲良くしている。




「やから、俺らの家の反対にある丘あるやろ? あそこの丘から夕暮れ空を51日間続けて見届けたら恋が叶うんやって!」




流星の机をバンっと叩き、俺が身を乗り出して伝えると




「...ついにシゲも末期か。」



なんて呆れた目で俺を見た。




「ちょ、心外やわ!願かけみたいなもんやん!」




「ふーん」




流星は興味無さそうに呟いた。



ついに



流星がそんな言葉を使う理由


それは


俺が惚れやすい性格だからだ。



今まで生きてきた17年間で



一体何回恋に落ちただろうか。




恋に落ちるたびに


流星に相談して


失恋するたびに


流星に愚痴を吐いていた。




そんな俺の姿をずっと見てきているから


そろそろ呆れ始めているのだろう。



まともに実った試しがない俺の恋



きっと流星は


またすぐに失恋すると思っているだろうけれど




今回は違う。



今回の恋は絶対に実らせたい恋なのだ。





普段はあまり信じない噂話も



何度も繰り返した失恋で



追い詰められている俺には必要なものだった。

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