west×Music Parodexi 2 ※BL

2. yellow side ページ30

人通りが少ないこの道を


手を繋いで歩いていった2人




適度に生まれる身長差


細身な濱ちゃんと


少しぷっくりとした照史




(あーいうのがお似合いっていうんやろうな)



2人並ぶと、本当にお似合いで


また1つ、溜息をつく。




「好きや」




ずっと秘めていた思い


もし俺が濱ちゃんより先に伝えていたら...?



(あの隣にいるんは俺だったんかな...なんてな。)

首を少し圧迫し、声が出しにくいマフラーを解く。


冷たい風が首にあたりどんどん俺の体温を下げる。



「...じゃあな」



伝えていなかった別れを


今俺ができる最大限の笑顔で伝えて


2人と反対の方向に、俺は進み始めた。



まだ咲かない桜の木が並ぶ道を


凍った雪に気をつけながら歩いていく。


いつかこの桜が咲いて


この雪もすべて溶ける時



(この気持ちも一緒に溶かして忘れよう)



だからそれまでは



(...ごめんな)



ずっと思っていられちゃあ迷惑だろうけれど


最後のわがままを、許して欲しい。



事務所に所属して


すぐに照史と出会った。


正直、デビューまで一緒とは


あの頃の俺は思っていなくて


この気持ちに気づいた時に


時間がいつか解決してくれるだろうと思っていた。



(もう何年たったんやろうな)



ずっと好きだった。


伝えたことはなかったけれど


ずっとずっと好きだった。




だから濱ちゃんと照史が付き合うと聞いた時に


俺の中に一気に色々な感情が渦巻いた。


照史が元々濱ちゃんを好きだったのかどうかは知らないが


照史の優しい性格を考えると


断らなかったのだろう。



(じゃあ、俺が先に伝えてたら...?)



照史と付き合えたのだろうか。


そんな付き合い方をして幸せなのかどうかは知らないが


少なくとも、今のような後悔に駆られる日々は過ごさなくて済んだだろう。



いくらこんなことを考えても


すべてが今更なことなのは


絶対に変わらない事実だった。




(...寒っ...)


大きく吹いた風に


1人分の体温しか持たない手は


コートの中で震えていた。

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