west×Music Parodexi 2 ※BL

9. purple side ページ24

とりあえず車を近くのコンビニまで走らせる。

何も考えずに、携帯をつかみ、すぐに電話をかける。


「...もしもし、淳太?」

「ん?濱ちゃん?どうした?」


電話をかけた相手は、職場の同僚で仲のいい中間淳太



「...今日これから飲める?」


俺の声のトーンがあからさまに低いことに気づいたのか


「俺ん家の近くの個室ある店でええか?」


と言われたため

俺はすぐに返事をし、また車を走らせた。


まだ正常に働かない頭をなんとか使って。




飲み屋につくと、個室に案内された。

そこには、既に淳太が待っていた。


「早かったな」

「車やったし」

「酒飲めへんやん」


淳太に言われてから気づく。

普段酒を飲まないせいで、気づかなかった。


「...今日は俺が飲まへんから。濱ちゃんは満足いくまで飲んで?」


と言われたので、たまには甘えることにした。


酒やおつまみが届き、とりあえず乾杯をする。


「なにしたん?濱ちゃんが飲むとか珍しい」


酒に弱い俺は、普段自ら飲みに誘わない。

そんな俺が休みの日に飲みに誘ったのだから、何かあったと思ったのだろう。



「...望に振られた、さっき。」


「...は?何言うとん?」


「振られた、別れようって。」


「何で?あんな好き好きオーラ全開ののんちゃんに振られるん?」


「俺が聞きたいわ...」


と言いつつも、なんとなく理由は分かっていた。


「...最近な...」

俺は1口酒を飲んでから話を始めた。

...


なんとなく、落ち着く匂いがする。


背中に感じるふわりとした感触に

ここがベッドの上だと言うことの気付く。


先程まで淳太と飲んでいて、飲みすぎて酔っ払って...


その後の記憶が無い。


ここはどこだ?淳太の家か?


そう思い


「ん...淳太ぁ?おるん?」


と言いながら下半身はベッドに入ったまま身体を起こすと


ガチャリと扉の開く音がして


扉の向こうには


先程別れを告げられたばかりの恋人


望の姿があった。


「望?」


夢でも見ているのか、これは。


別れを告げられてもなお好きだった人が


俺よりも大きい身体で、子犬のようなうるうるとした目をして立っている。


目は既に赤くなっていて、泣いていたことが分かる。


「濱ちゃん...ほんまにごめんなさい...!」


と、急に頭を下げられる。


「え?え?ちょ...何で?...顔、上げてや」


「ほんまにごめんなさい、ごめんなさい」


頭を下げたまま「ごめんなさい」と呟き続ける望。

10. purple side→←8. pink side

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す