34. Pink side ページ36
9年という月日は、あまりにも長すぎて
俺らの溝をどんどん深くしていった。
作り出した壁は思いのほか頑丈で
殴ったくらいじゃ壊れなかった。
目と鼻の先にいる君が、ありえないくらい遠くに感じた。
説明する声が、低く冷たく感じた。
あの時の、あったかい声はもう俺には向けられないのかと思うと
胸が締め付けられる感覚がして
薄らと涙が滲みそうになる。
「ま、そんな感じや!」
「人に説明させておいて、ありがとうのひとつもないん?」
「ありがとうな!」
「はいはい、」
重岡先輩と話す濱ちゃんの声はあったかくて、優しくて、笑ってて。
こんな辛い思いをするくらいなら、来なければ良かった。
姿も見せずに、諦めれば良かった。
忘れてしまえば良かった。
それが出来ないこと、自分が1番分かっている。
だから、勇気を出して生徒会室の扉を開けたんだ。
ここで逃げたら、今までの苦労が台無しや。
死に物狂いで勉強して、この高校に入った意味がない。
「...役員、やっていいすか?」
今だ笑い続ける桐山先輩に向けて、俺はそう言った。
「...小瀧君がやりたいなら、やったらええと思う。」
桐山先輩は深呼吸をして、真剣な顔に変わった。
「...ほんまになってくれるん?」
と、重岡先輩が心配そうな顔で、俺を見る。
よくよく考えたら、来年、生徒会は神ちゃんと重岡先輩だけになる。
重岡先輩も明るく振舞っているが、内心不安なのだろう。
「やりたいです。」
俺の意思ははっきりしていた。
「...俺だけなんもないやん。」
それまで濱ちゃんと同じくらい空気だった流星がぼそっと呟いたおかげで、場の真剣な空気が崩れ、笑い声が響く。
「ほんなら流星もやれば?役員」
「...遠慮しとく。」
「なんやねん!」
と、また笑いがおきる。
そんな中、濱ちゃんだけが笑っていなかった。
続く
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彩藍(プロフ) - にゃにゃ子さん» ありがとうございます！更新はとてもゆっくりなのですが、続編の方もよろしくお願いします! (2018年1月13日 9時) (
レス) id: 0d0bec4c4d (このIDを非表示/違反報告)
にゃにゃ子 - 今回、初めて読んだんですけど、すごくよくて続きが早く読みたいです (2018年1月13日 1時) (レス) id: ab22ae88eb (このIDを非表示/違反報告)
Kismyft21202(プロフ) - はじめまして!!作品楽しく読ませて頂いてます！！私は緑担なのでとても嬉しいです!!これからも最新無理せず頑張って下さい！ (2017年12月12日 23時) (レス) id: 86ca4742eb (このIDを非表示/違反報告)
智哉(プロフ) - はじめまして！作品楽しく読まさせていただいてます！わたしは、黄橙、桃紫、青緑の組み合わせ、かなり好きなので、更新楽しみにしています！ (2017年12月12日 17時) (レス) id: e92eef80d4 (このIDを非表示/違反報告)
蘭芽(プロフ) - 私も橙担です笑いつも更新楽しみにしてます。これからも頑張って下さい！ (2017年12月12日 7時) (レス) id: 568cceb099 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：彩藍 | 作成日時：2017年12月10日 23時
