【H×H】仲間ハズレの猫 Ⅱ (ページ15)

今日:6 hit、昨日:5 hit、合計:12,624 hit

64話ページ15

『相手はゴンか?』

「...あぁ。

旅団を殺ったのはゾルディック家と君だと言う話も聞いた、本当か?」

『......いいや、その情報は間違いだ。ゾルディックはわからないが私は殺っていない。』

「そうか...。」

見るからに弱ったようなクラピカは下を向いた。

近くにより、また私から話しかけた。

『そちらこそ、大丈夫か?』

「...眼の事か?随分気を使わせてしまっているようだな、すまない。

それより1つ、聞きたいことがある。」

話を遮るようにしてクラピカが問いかけてきた。

『なんだ?』

「...クルタ族について、知ったのは書物か何かか?それとも旅団を追ってか?
服装など少ない情報で私をクルタ族と確定したことが気になっていた。」

『...どちらでもないな。クルタ族とはまた別の一族だが、その一族を追っている時に入った情報がクルタ族だった。

あれは旅団がクルタ族を襲う前だったと記憶している。』

「別の一族...なぜ調べていたのか、聞いてもいいか。」

夜空の下でまた強い風が吹いた。

『少しでも気が紛れるなら、私の話でも聞くか?』

「興味がある。」

クラピカは旅団のことより一族のことに興味を持ったようだ。

『私は少数の戦闘民族の末裔だ。だが私の記憶がないほど昔に私はある富豪に攫われ、何も知らずに育ったわけだ。』

「...富豪が本当の親ではないと分かった時、君はどうしたんだ?」

『もちろん家を出たさ、私は愛されていたが親と思っていた奴らは子を攫うような人間だった。

そして私はひとりで成長し、ハンターになり自分の本当の親を突き止めた。もう亡くなっていたが。』

「...そうか。」

クラピカが何を考えているかはわからないが、先程より砕けた表情をしている。

『私の話なんてつまらないだろう、数人にしか話していない事だがこうやって真剣に聞いて貰えるなら話すのも悪くないな。』

「君にとってそれほど大きくもない存在の私が数人しか知らない話を聞いてしまって良かったのか?」

『なんてことはない。少し貴方と親しく慣れたような気がする、是非貴方の話も聞かせてはくれないだろうか。』

私とクラピカは一晩、屋上で互いの話をした。

ひとりにしてやるのが一番だと思ってはいたが、あまりにも優しい顔で昔を語るので

私はその場を離れず静かにクラピカの話を聞いていた。