【H×H】仲間ハズレの猫 Ⅱ (ページ13)

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62話ページ13

ゼノさん、シルバさんは静かに大部屋から去る。

「君、前にやりあった事あるよね。」

『あぁ。お前が蜘蛛の頭とは知らずに、だが。』

青年は盗賊に似つかわしくない笑顔を浮かべた。

「オレを捕まえに来たの?」

『正確にはお前達、だ。一人はもうすでにいないようだがな。成仏したかな。』

「あれだけ派手にやったんだ、あっちにも聞こえてたはずだよ。」

こいつがここに来る前、私がゾルディックふたりと行動している間に外でかなりの人が死んだらしい。

「それより闘らないってことはあの能力、見れないんだ。」

『そう簡単に人に能力を見せてたまるか。』

「だよね。

じゃあ一つ、名前を教えてくれないか?」

思わずため息をついた。
本当に蜘蛛の頭かと言うくらいに気の抜けた様子で話しかけてきたと思えばナンパのような真似をしてくる。

『...Aだ。』

「....A、ね。

オレはクロロ、こんなところでまた会えるなんて思ってなかったな。まさか賞金首ハンターだったなんて。

次会うとき、本気で闘るならお手柔らかに。」

『本気なら手は抜けないな。』

「オレと歳はそう変わらないみたいだけど普段から警戒心強そうだし能力も厄介、やりにくいな。」

そう言うと勢い良く倒れ込んだ。

「しんどー...ありゃ盗めねーわ。」

『幻影旅団様が随分弱気だな。
私からも一つ、いいか?』

「んー?」

『旅団に金髪の操作系がいただろう。ハンターの。』

「君結構顔が広いね、いるよ。それがなに?」

私はポケットから携帯を取り出しクロロの方へ放り投げた。

「おっ...と、携帯?」

『そいつを金髪に渡してくれ。』

接点がないと思っていた幻影旅団だが、旅団のメンバーだとわからないまま関わってしまっていたらしい。

自力で集めた幻影旅団のデータを見てあの金髪がハンター試験にいたのをつい最近思い出したのだ。

何気ない理由で話したのだが携帯を借りたままだった。

「知り合い?」

『金髪は覚えてもないだろうさ。
用は済んだ、私はこれで失礼する。

お前達が賞金首な事に変わりはない、今回は手を出さないが次に会う時があれば容赦はしない。』

ひと睨みし、その場を去ろうとする私に"また会うよ"と言ってきた。

....あんなボロボロの青年姿じゃあ本当に捕まえる気も失せる。

たとえ頭がなくなったとしても、蜘蛛は生き続けるのだろう。

厄介な賞金首と顔見知りになってしまったことを反省し、私は自分の携帯をポケットから出した。