21話 ページ21
「トンさん、どんだけ桃缶買ってきたんだよ…」
あれ以降食後のデザートはいつも黄桃だし、お弁当にも入っている。
１人暮らしだと余すだけだし、缶詰置いておいても忘れそうだし、なんでも喜んでもらってくれそうな人にあげるしかないか。
『A今どこ？』
「たぶん近く。コンビニの前」
『あ、いたわ』
振り返ると気持ちの良い笑顔のシッマがいる。
「久しぶりぃ」
「久しぶり。当の本人は？」
「理由つけて来んかった」
「クズかよ」
「クズよりもクズやんな。あ、持つよ」
「ありがとう」
桃缶５缶が入った袋をシッマに渡し、鬱先生宅に向かう。
シッマも用があったらしく、案内がてら迎えに来てくれた。
「初めてやろ、大先生ん家」
「そうだよ」
「汚いけど許してな」
「シッマは悪くないもん」
「着いたで。大先生、邪魔するよ!!」
うん、よく見る煩雑さ。
男の人が住んでるな、って感じの煩雑さ。
「いらっしゃいAちゃん。ほら、シッマ帰れよ」
「なんでやねん!!動画録るんやろ!!」
「それは後日でいいやん？」
「次いつ予定合うかもわからんやろ」
「合うから、大丈夫」
「大先生の大丈夫は信用ならん」
「ほら〜、長年の僕達の仲やん？」
「仲ｗｗｗｗｗ」
笑いが止まらないシッマ。
それより、桃缶を…。
と見つめていると、シッマは気付いてくれた。
「あ？ああ!!ごめんごめん、これ、Aから」
「Aちゃんから直接もらいたいなあ」
「は？変わらんやんけ」
「いいから。Aちゃんにもお願いしていい？」
「まあ、いいですけど」
「しゃーないな」
シッマから袋を受け取り、鬱先生に渡す。
「うっわー、ありがとお!!ホンマ嬉しいわあ」
満面の笑みの鬱先生は受け取りながら私の手も包み込む。
「おま、セクハラ!!」
「え？Aちゃんごと貰うんじゃないの？」
「きっも」
「別にコネシマからどう思われてもいいし。Aちゃんは僕に貰われたら嬉しいやろ？」
「求められるのは嬉しいけど、下心丸見えなのはいただけないかな」
「ほーら、嬉しいって」
「ちゃんと話聞けよ大先生」
「私、今のところ鬱先生には特別魅力感じないな」
「これは、今後可能性ありますねえ!!」
「その自信どこから湧くんや。ていうか、鬱先生“には”って、今他に魅力感じてるのおるん？」
「嘘!?僕以外に!?」
言葉尻だけで話を広げる２人の前で、言われればそうかもしれないな、と思ってしまう私だった。
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煌月(プロフ) - 綾鷹緑さん» ご指摘ありがとうございます。参考にさせていただきます。話している人の頭文字のひらがな、もしくはカタカナの記載を部分的にしているのですが、もっと広域的に必要、という解釈でよろしいでしょうか？ (2017年6月23日 21時) (
レス) id: d216df1310 (このIDを非表示/違反報告)
綾鷹緑 - すみません。ちょっと言いたいことがあるのですが、誰がどのセリフを言っているのかわかりません。なので、セリフの前に、鬱「」という風にしたらいいのではないでしょうか？上から目線すみません。 (2017年6月23日 21時) (レス) id: 2a1f9e77ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：煌月 | 作成日時：2017年5月29日 15時
