８話 ページ8
大量の書類とともに館に戻る。
紙が増えるのに比例して、総統の機嫌は悪くなる。
次の会談の予定を含め今日の仕事を終わらせるつもりだったが、サイス中将は急がなくて良いと言ったらしいし、カヅサも、いざとなったら自分が出向く、の一点張りであった。
とりあえず自室で事務処理と記録をするも、今日の会談はどう考えても釈然としない。
大量の書類と、むこうが要求してきた調査はこの案件を進めさせないためのものだろうが、目的がはっきりしない。
『我々』が遊軍であるならば、国と軍に便宜を図るための仲介として『我々』を使い食いつぶそう、的な。
しかしサイス中将の口ぶりからは『我々』を理解しているようだった。
考えても考えても向こうの意図はわからないし、考えれば考えるほど仕事は進まない。
…だめだ、外の空気を吸おう。
夜中にこっそり館の外へと出る。
今日は新月、星がより眩しい。
しかし目の前には、星とは違う光がひとつ。
「っわ、びっくりしたあ」
「すみません、一服中に」
コネシマさんが紫煙を燻らせていた。
赤々とした光はタバコだったか。
「コネシマさんも吸うんですね」
「大先生ほどじゃないけどな」
そういう足元には５〜６本踏み潰した跡がある。
「どうしたん、こんな夜中に」
「小休憩です」
「え、まだ仕事してたん？」
「今日の記録諸々を」
「真面目やなー」
「コネシマさんはどうしてここで一服を？」
「部屋ヤニくさくなるやん。ただでさえ隣大先生なのに。
それに、外見てみたら綺麗な星空やったから」
「意外と綺麗好きなんですね」
「そこはロマンチストを評価してほしかったかな」
「それも意外ですけど。
コネシマさんは基本粗暴そうなので、何聞いても意外かもしれませんね」
「ズケズケ言うてくれるなあ」
そんなことを言いながら楽しそうである。
「ここ、慣れた？」
「まあ、それなりに」
「その割に敬語やんな？」
「皆さん目上で年上ですし」
「そんなん気ぃするな。
なんかこっちが慣れへんから敬語やめて？」
「無理ですね」
「じゃあせめてもっと親しげに呼んでくれへん？」
「親しげ、とは…？」
「シッマとか、コネちゃんとか」
「無理ですね」
「いずれ呼んでや？いずれ」
渋々はいと答えたものの、人への心の開き方をよく分かってない私に出来る気なんてしなかった。
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煌月(プロフ) - ななしさん» ありがとうございます！ゆっくりですが更新していきますので、最後までお楽しみいただければ幸いです！ (2017年7月10日 17時) (
レス) id: d216df1310 (このIDを非表示/違反報告)
ななし - ひとらんカッコイイです。続き応援してます (2017年7月10日 16時) (レス) id: f53aaac50e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：煌月 | 作成日時：2017年5月29日 15時
