39話 ページ39
「また、なの？」
「そんなにイヤ？」
発つ日の朝、車の前で待っていたのはらんらんだった。
「イヤじゃないけど、ここまできたらわざととしか」
「わざとだよ？俺が行くって手挙げたから」
「…なんで？」
「…気になったから？」
そんなやりとりをしてから少しの荷物を詰め込んで助手席に座る。
「忘れ物はありませんか？」
「大丈夫。部屋は元に戻してきたし、なにかあったららんらん届けてよ」
「それは面倒かな」
「運転手立候補しておいてそんなこと言うの」
「それとこれとは別。じゃ、出発するよ」
勢いよく発進した車は３度目の道をなぞる。
「…やっぱ寂しいな」
その言葉を発したらんらんへ視線を向けると、物悲しそうに前を見据えていた。
「私だって行きたくないよ。でもこれが最善だから」
「絶対、中将の望むようにはさせないから」
らんらんの瞳の奥に青い焔が灯ったように見えた。
「グルさんが何をするかわからないけど、私も私なりにやるから」
「Aの方がでかいことやらかしそうだけど」
「できたらいいんだけどね、みんなのマイナスになると思ったら何もできないから」
「よく言うじゃん、マイナスとマイナスを掛け合わせたらプラス、って。だからさ、もっと自分のために動いてもいいと思うよ。尻拭いならいくらでもやるし、俺も、Aを守りたい」
「守られるほど価値のある人間なのかな…。こんな、自分の負けを周りの勝ちで打ち消そうとしているヤツに」
「あるよ、俺にとっては」
じわじわと私に迫る言葉に胸が少しずつ締め付けられる。
「…やめてよ」
「なにが？」
「そんな風に言わないでよ。向こうに行けなくなる」
「じゃ、ここから道外れて駆け落ちでもする？」
「できたらいいけど、駆け落ちするほどの仲じゃないでしょ」
「…歩み寄ってきたと思ったら突然刺してくるのやめろって」
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煌月(プロフ) - ななしさん» ありがとうございます！ゆっくりですが更新していきますので、最後までお楽しみいただければ幸いです！ (2017年7月10日 17時) (
レス) id: d216df1310 (このIDを非表示/違反報告)
ななし - ひとらんカッコイイです。続き応援してます (2017年7月10日 16時) (レス) id: f53aaac50e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：煌月 | 作成日時：2017年5月29日 15時
