38話 ページ38
強めのノックが３つ、昼前の私の部屋に響く。
「失礼。A、入るぞ」
「何の用で？グルさん」
「来たぞ、コレ」
その手には一通の封書。
とうとう先方が答えを出したらしい。
「で、答えは？」
「まだ見ていない。A宛てだしな。ほら、開けてみろ」
嫌々受け取り、ペーパーナイフで封を切る。
私宛て、という時点で察しはつく。
読み進めれば読み進むほど視界は暗くなるような気がする。
「…どうだって？」
いつもより一段と優しいトーンのグルさんの声が背後から包んでくる。
「向こうの、王制復権派の受け入れ態勢が整ったって。
とりあえず、うちの軍の駐留秘書官として席を設けておくから来いってさ」
「期日は？」
「１週間後」
「…うわー、断りてえ」
「打診したのはグルさんじゃないですか」
「だってそうせなアカン流れやったしー」
「それは、ね」
「まあ、後悔しても仕方がない。これを使って隣国反乱分子を殲滅するぞ」
「なぜ隣国の内輪モメを我々でどうこうしなきゃいけないの？」
「隣国は我々の支配下に置かれる傀儡国家となる。このことは上のほうでほぼ決定となっている。
それにあたり、反乱分子は明白なるエネミーだ」
「随分と唐突な話だけど」
「なんのために隣国とやり取りしてエーミールまで潜らせてると？」
そう言われればそうか。
「待って、それを知ってて動いていたのは？」
「俺と、トントンと、オスマンは最初から。エーミールは察しついてそうだけどな」
「もしかして、私の素性を知っててこちらに…？」
「それはない。軍からの通達に従ったらとんでもないオマケ付きだったってところだ」
奇跡が重なりすぎだろう、とツッコミたいところだがこらえる。
「Aがここに来たのは、運命だったのかもしれないな」
「…こんな運命、クソ食らえ」
「神様のイタズラなんてそんなもんやろ」
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煌月(プロフ) - ななしさん» ありがとうございます！ゆっくりですが更新していきますので、最後までお楽しみいただければ幸いです！ (2017年7月10日 17時) (
レス) id: d216df1310 (このIDを非表示/違反報告)
ななし - ひとらんカッコイイです。続き応援してます (2017年7月10日 16時) (レス) id: f53aaac50e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：煌月 | 作成日時：2017年5月29日 15時
