30話 ページ30
「どこかは分からんな…」
「片っ端から開けてく？」
「自国じゃないからあまり騒ぎは起こしたくないな…。とりあえず中に聞き耳立てるくらいがギリやろ。
ひとらん、奥から頼む」
「おっけー」
手前の部屋から扉に耳をつける。
気配も感じられない、ここじゃない。
「あっ!!」
「どうしたひとらん!!」
と言う終わる前にはひとらんの姿はなくて。
破壊音も聞こえたからどこかを蹴破ったらしい。
「なにやっとんねん!!」
廊下に１枚の紙が落ちており、その前の扉がぽっかりと空いている。
駆け寄り中を見ると、抜刀し構える背中がいちばんに視界に飛び込んでくる。
その奥には、ジジイに踏みつけられているAがいた。
「さすがに来られましたか」
「足どけろよクソジジイ!!」
ひとらんが勢いよく斬りかかるもジジイはひらりと身をかわす。
「こんなことされたら外交問題に発展しますよ」
「関係ねえよ、先に吹っかけてきたのはそっちだろーが!!」
「ひとらんやめろ!!」
「ほら、そちらのトップもそう言ってます？私は、彼女と話をしたいだけだ」
ジジイの足が離れたAはその間に立ち上がる。
「下がってろ」
「いい、グルさん」
その目は、いつになく燃えていた。
次の瞬間、中将にぶつかるように走り出す、も窓にぶつかりガラスが割れる。
「不審者逃亡!!外に逃亡!!」
初めて聞く彼女の大きな声に驚く。
Aは自らの左肩の傷を抉りその場にへたり込む。
一方中将はというと、足元に転がっていた注射器を静かに踏みつける。
「あんたの企みは、なんや」
「昔から変わらんよ、そんなのは」
その一言でひとつの可能性に気付く。
エール中尉のこともつながる。
「全部、アンタが引っかきまわしてたってことか」
わかったけどわからないことがひとつ。
なぜAを狙い続けるのか。
いや、考えられる可能性はあるが、そんなのは奇跡とかこじつけとかいうものだ。
「ひとらん、A連れてここ離れろ」
「分かった」
「私がここに居ないと、辻褄合わないし傷抉った意味もないんだけど」
なるほど、侵入者にやられた体か。
「辻褄なら合わしとく。ついでに帰り支度しとけ。帰れるよう話つけとくから」
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煌月(プロフ) - ななしさん» ありがとうございます！ゆっくりですが更新していきますので、最後までお楽しみいただければ幸いです！ (2017年7月10日 17時) (
レス) id: d216df1310 (このIDを非表示/違反報告)
ななし - ひとらんカッコイイです。続き応援してます (2017年7月10日 16時) (レス) id: f53aaac50e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：煌月 | 作成日時：2017年5月29日 15時
