20話 ページ20
『私じゃないと書けなさそうなものは大体終わったけど』
『だから早いってｗｗｗ普段からその感じなん？』
『普段はもう少し加減するよ？あんまり評価されても仕事多く回されそうで困るし。
と言うことで黙っといてね、トントン？』
『わかった、次コレええか？』
『よっしゃ任せろ』
扉の向こう、楽しそうに仕事をする男女２人。
「なあ、手伝いに行かんでええの？」
「まあまあ、まだタバコ残ってるし、しばらく待っとこ？
それに随分と楽しそうやん、向こう」
DTがデレデレと仕事してるのオモロイやん？
１本の煙草を大事に吸いながらロボロと食堂の前に立ち尽くす。
「…手伝わんのになんでここにおるの？」
「オモロイやん、盗み聞き」
「コネシマ、趣味悪すぎやろ」
「そうかなぁ？こんな楽しそうな会話聞いてたらこっちも楽しくなるやん？」
「俺は、向こうに加わりたいかなあ。Aちゃんとちゃんと話したいわ」
「仕事しに行けよ」
「それは当然やるけどさ、トントンも楽しそうだし」
若干口を尖らせて話すロボロの気持ちも分かる。
しゃーない、そろそろ中入るか、と思ったその時。
「おい、シッマ、ロボロ」
小声で呼びかけるゾムが話しかけてきた。
「おー、ゾム、どないしてん？」
「トントンの顔、めっちゃ緩んでてオモロい」
「え、見に行く見に行く!!ほら、行くぞロボロ!!」
「シッマうっさい」
「なんで行かなあかんの…？」
厨房にまわりこっそり覗く。
隣り合った２人、Aはいつも通り表情は薄いが、トントンは目尻が垂れて口角がわずかだがずっと上がっている。
くっそ楽しそうやんけ。
「あんなトントン、初めて見るかも」
「そやろ、俺もびっくりしてん」
「まあ、DTだし」
ロボロの視線が刺さる。
ごめんて。
『よかったらこっちの経理報告書もやって』
『それ今やらなきゃだめ？』
『ついでに、な？』
「いっしょにいる口実やろアレ」
「シッマ、僻みに聞こえるぞ」
「いやいや、そんなんちゃうし？建前なしにいっしょにおれんとか、とんだタマ無しやなー、と思って」
「チワワがキャンキャン煩いわ、全部チクろ」
「ロボロ裏切んのか!!」
「いや？素直になれば？って話」
冷静なゾムに静かなロボロに対し、俺は一気に頭に血が上ったらしい。
近づく気配には気付かなかった。
「ほー、ええ趣味しとんなあ、お前ら」
風もないのに赤いマフラーがなびいていたのは、トントンの殺気のせいかもしれない。
これ、死んだわ。
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煌月(プロフ) - ななしさん» ありがとうございます！ゆっくりですが更新していきますので、最後までお楽しみいただければ幸いです！ (2017年7月10日 17時) (
レス) id: d216df1310 (このIDを非表示/違反報告)
ななし - ひとらんカッコイイです。続き応援してます (2017年7月10日 16時) (レス) id: f53aaac50e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：煌月 | 作成日時：2017年5月29日 15時
