17話 ページ17
取り調べも終わり、オスマンを通しての交渉へと入った。
「手分けしてた書類は？」
「やらんでええやろ」
オスマンと対峙してグルさんは今後の打ち合わせを進める。
補足のように、私の質問を挟みながら。
「一つ、聞いてもいい？」
「なんだ？」
「エール中尉の言っていたように、グルさんは彼のお養父さんを？」
「いいや、やってない。
４年前俺に下った任務は、隣国親衛隊設立の阻止。
上層部の不祥事をでっち上げて軍備拡張を止めただけや」
中尉の理由とグルさんの主張は食い違っていた。
中尉は、ここの壊滅と構成員抹殺の任を受けたのと、グルさんに養父の命を奪われた逆恨みだったと言っていた。
こんな非道な人間についていく必要はないから俺といっしょに国に帰ろう、とこの期に及んで中尉は誘ってきた。
「それ把握してるのは誰？」
「うちのほうやったら当時の直属の上官と、報告した幹部あたりだろう。
向こうについては、知った顔は大体軍から弾かれたからな。
それこそ、サイスくらいやろ」
「結局あのジジイが握ってんのか。やりにくいわ」
メモをとっていたオスマンは大きく息を吐きながら天井を見上げた。
「で、Aはエールくんと旅立っちゃうの？」
天井に向かっていた視線はこちらに向く。
「行ったところでメリットがない」
「相変わらず冷たいなぁ。仮にも幼馴染やろ？」
「私、覚えてないし。こっちの人たちのほうがよっぽど思い入れあるから」
「…無表情でポロっと言うこと？それ？」
「なんか悪いこと言ったかな？」
「だからそういうのは、もっと感情を込めて言ってよ!!」
とオスマンは立ち上がりズカズカと私の前まで歩んでくる。
「なに？」
「もっと!!表情筋!!使う!!」
イタズラっぽい笑みを浮かべながら、オスマンは私の頬を上につまみ上げた。
「ほーら、かわええやん」
「いたい」
「仕事しろよオスマン」
「えー、グルちゃんもちょっと休憩しよ？かわいいで、A」
キラキラと笑い続けてるけど、こっちは結構痛いのだが。
「んー、どれ。
…まあ、普段見ない顔やな」
「でしょ、いいでしょ」
「遊ばないでよ」
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煌月(プロフ) - ななしさん» ありがとうございます！ゆっくりですが更新していきますので、最後までお楽しみいただければ幸いです！ (2017年7月10日 17時) (
レス) id: d216df1310 (このIDを非表示/違反報告)
ななし - ひとらんカッコイイです。続き応援してます (2017年7月10日 16時) (レス) id: f53aaac50e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：煌月 | 作成日時：2017年5月29日 15時
