沈めば空来る世界は海賊時代 (ページ2)

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終わりの海ページ2

『イージス艦の体験航海って、どこの名探偵だよ』

｢まぁでも、めっちゃいい体験ではあるくない？あんたワンピ好きじゃん｣

『やほんとマジでそう。欲を言うなら海賊船が良かったけど、結構それっぽくて楽しい』

高校2年の夏、友人に誘われてイージス艦の体験航海に参加している。親子連れや、年配の夫婦など幅広い年代や関係を持った人々が、この体験を楽しんでいた
辺り一面、青く広がる海を見て、彼らはいつもこの景色を見ているのかと景色に浸る

『推しのいる世界いきたぁい！！！』

｢絶対嫌！怖すぎるでしょ、海賊にならずとも海賊とかに脅かされて生きてかなきゃならないやん！｣

『天竜人になればわんちゃん』

｢ルフィがおるから結構序盤に無理｣

『あぁ…』

｢妄想楽しい〜｣

イージス艦の外の柵に肘を掛けて空を見上げる

『上も下も青いな』

｢こら、優斗危ない！｣

｢大丈夫っ！？｣

｢優斗！！｣

外を走り回っていた子供は、落ちないために立ててある柵に足をかけた
瞬間、強風に煽られ男の子の体は風船のように浮き上がった

『ちょっ！！？』

｢A！｣

咄嗟に身を乗り出して男の子の腕を掴むも、重さに耐えきれず自分の体も海の方へと投げ出される
辛うじて片手で柵の1番下の横棒に捕まる

『彩、この子、手！』

今にも滑って落ちそうな男の子の身体を、全身の力を使って引っ張り上にいる友人に預ける

『(あ、やば)』

｢A、A！｣

男の子の身体が預けられるのを見た瞬間、力が緩み、体は海へ真っ逆さまに落ちた

『ｶﾞﾎﾞｯ!!!!!』

抵抗も虚しく、段々と沈む身体に息が出来なくなり抵抗する力も無くなった

『(死んだ…)』

酸素が完全になくなり、キラキラと太陽に照らされた海を下から眺めて、意識が飛んだ