無色透明

33 ページ33

恥ずかしさ、照れ、混乱など
いろんな感情が混ざって結果的に逃げるという
卑怯な手を使ってしまった





どうやら私は嫌なことが起こったら逃げてしまう
悪い癖があるらしい






まだ激しい運動は禁止されているけど
りょうくんにどんな顔を向ければいいのか分からなくて止まれなかった





だけど、さすが元陸上部


すぐに捕まってしまう








「病院では走っちゃダメってこと知らないの？」






後ろからがっちりと両手で抱きしめられて
身動きが取れない





頭の中がグルグルして何を言えばいいのか分からなくなる








「付き合ってほしいなんて言わないから安心して。
Aの負担にはなりたくないし今は体のことを一番に考えてほしい」




「でも…そんなのりょうくんに悪いし」





「俺はただ、自分の気持ちを知ってほしかっただけ。これ以上のことは求めてない」




「…分かった。じゃあひとつだけ教えて」







一呼吸置いて、ゆっくりと口を開く







「私のどこがいいの？特別容姿がいいわけでもないし性格だって普通だし、人に自慢できるところも
優れてるところもない…良い所なんてない気がするけど」





あぁ…



自分で言ってて惨めになってくる
でも本当のことだし、しょうがないよね



りょうくんならいろんな女性を選び放題なはずなのによりにもよってなんで私なのか分からない









だんだん自信がなくなってきて俯いていると
そっと優しく頭を撫でられる

34→←32

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す