11 ページ11
「えぇ！？今日も来てないの？」
仕事終わりに急いでスタジオに行けばそこには
てつや一人しかいなかった
これで五回目…
今日こそは会えると思ったのに
「しばゆーとりょうは二人で夕飯食べ行って
としみつとゆめまるは、さっき用事あるって言って帰った」
「嘘でしょ…」
偶然とは思えないほど、こんなに露骨に避けられるなんてさすがに心が折れそう…
「…あれ？じゃあ虫さんは？」
「んー？虫さんは風邪引いて家で寝込んでる」
「え、そうなの！？大丈夫かな…」
その時、あるひとつの考えが頭の中で浮かんだ
虫さんには嫌がられるかもしれないけど
このチャンスを逃す訳にはいけない…
「私、今からお見舞い行ってくる」
「はぁ！？なんで？」
「何でって…てつやは虫さんのこと心配じゃないの？」
「いや、そりゃ心配だけど…」
…ん？
何かてつやの様子がおかしい様な…
「…ねぇ、何かあったの？」
「やっぱり」
「え？」
「顔色悪い」
あたたかい手が私の頬に触れる
じっと見つめられて目が離せない
「大丈夫だよ、これくらい。私元気だし」
「ウソ。絶対無理してる」
「してない！だって…」
その瞬間、視界がぼやけて足に力が入らなくなる
てつやが咄嗟に助けてくれて倒れずに済んだけど
…怖かった
自分でも気が付かないほど体が弱ってることが
分かったから
「今日はここで大人しく寝ること。最近色々あったから体疲れてるだろうし」
「…ゆっくりしてる暇なんてないよ」
「だからって体調悪い時に無理する必要ないやん。虫さんのとこは明日にでも行けばいいんだし」
「ダメ、前に言ったじゃん。もう時間がないって…」
「A」
いつもとは違う、低くて暗い声に名前を呼ばれて
体が固まる
怒っていることが声だけで分かる
てつやのことだし意地悪でこんなこと言ってるんじゃないと思う。
きっと、私のことを心配してくれてるんだろうな…
「…分かった。じゃあ今日は大人しくしてる」
ポツリとそう言うと何処か悲しそうな笑顔を向けられて心が痛くなる
こんな顔、させたくないのにな…
…ごめん。てつや
私、嘘ついた
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 119人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
蛍(プロフ) - アリスさん» ありがとうございます😭 これから少しづつ更新できるように頑張ります！ (2023年3月10日 20時) (
レス) id: e89e3b6ebf (このIDを非表示/違反報告)
アリス(プロフ) - 私なんなら、長編作結構好きなのでありがたいです笑これからも無理せず更新していってください！ (2023年3月10日 11時) (レス) @page28 id: 9417752f32 (このIDを非表示/違反報告)
蛍(プロフ) - 理々杏さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます! 少しづつですが、完結できるように執筆を続けたいと思ってます (2023年3月9日 10時) (レス) id: e89e3b6ebf (このIDを非表示/違反報告)
理々杏(プロフ) - はじめまして！いつも楽しみに読ませてもらってます〇無理に続けて欲しいとは言えませんが良ければこれからも蛍さんの紡ぐ物語が見れたら嬉しいです〇ずっと応援してます。長くなっても遅くなっても待ってます〇 (2023年3月9日 3時) (レス) @page28 id: 90f7b4cec9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：蛍 x他1人 | 作成日時：2022年10月3日 16時
