君との思い出づくり【HQ】 (ページ2)

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及川徹ページ2

とある休日の日、市内のショッピングセンターへ一人でウィンドウショッピングをしていると、ばったり及川くんに会ってしまった。

「あれ？Aさん？」

個人的に及川くんを認知している為、「及川くんは私の事なんて知らないだろうな」と思っていたにも関わらず、及川くんの方から話しかけられた。

あまりにも驚いてしまって、「ああ、うん」なんて素っ気ない返事をしてしまったことに反省していると、それを気にも留めてない様子で、「買い物？」と質問を投げかけてくれた。

「えっと、暇だったから服とか見に来てて…」
「なんか買わないんだ」
「財布持ってきてなくて」

へへ、ととにかく愛想笑いを続けることしか出来ない私に対して、及川くんは沢山話をふっかけてくれる。

多分、これが彼が大勢の人に好かれている理由でもあるんだろう。顔がかっこいいのもあるけど。

「…今もし暇だったら、俺の買い物に付き合って貰えない？」

まさか及川くんからお誘いがあるとは。
本当はもう帰ろうかと思っていたが、どうも顔面の良さに耐えきれず、「私で良ければ」などと返してしまった。

＊

「Aさん今日は急だったのにありがとう！」
「ううん、こちらこそ…！すごい楽しかったです！」

この言葉に偽りは無く、本当に楽しい時間を過ごすことが出来た。私の返答を聞いて及川くんは良かった！と笑顔を浮かべる。

時間も時間だったため、私は帰ろうと「じゃ」と言って背を向ける。楽しい一日になったなぁ、と思い出に耽る。こんなところ見られたら、クラスメイトに問いただされてしまうだろうな、それは困るなぁ、なんて考えながら歩いていると、私の手に何者かによって掴まれる感覚が走る。

「まって！」

私の手を掴んだのは、及川くんだった。

「あの、これ」
及川くんの手にある小さな包装が私の手に渡る。
「これは？」

私の落とし物ではない。少し期待をしても良いのだろうか。

「お礼！さっき見つけて可愛いなぁって」
似合うだろうなと思って、と付け加えた。
「ありがとう、大事にするね！」と返すと、及川くんは静かに頷く。明らかにさっきまでとは違う対応である。

「気持ち悪いかもしれないけど、Aさんと今日遊べて本当に嬉しかったんだよね」
「？気持ち悪くないし私も楽しかったよ？」
「…やっぱり気付いてない？

一度も話したことも目も合わせたことも無いような相手に誘われるって、下心出しまくりじゃない？」

妖しげに笑う彼は私には眩しすぎる。