宵町 透真 ページ2
「透真さん、良ければお祭りへ行きませんか?!」
「…すみません、お客さんとは一線を超えない主義ですので」
「ち、違います！透真さんにそんな感情は持ってないです!!!!」
今日何度目のお誘いだろうか。
もうそろそろ、指で数え切れないくらい誘ったような気がするが、透真さんは全部丁寧にお断りしてくれた。
透真さんにとっての私の存在というのは『お客さん』から全く動いてない。
ならば今日、無理矢理でも良いから動かせてしまおうではないか。
「遊ぶだけでいいんです！行きましょう！」
「透真、いいじゃん。行ってみたら？」
「魁利……分かりました、行きましょうか」
「えっほんとですか！」
魁利くんの一声で透真さんが行く気になってくれたようだ。
今日の為に買った浴衣で透真さんをメロメロにしてやる、なんて考えていたのもつかの間だったのだけれども。
＿＿＿＿＿＿＿
「俺はAさんをそういう目で見られないんです」
呆気なく私は振られた。
少女漫画のように、心をドキドキさせながら期待してしまう暇もなく、あっさりと振られた。
分かってた、と言いたいが、少しは期待もした。
それは、透真さん自身の優しさだったのかもしれない。
異性に対する、男の人がこうあるべき、と透真さんが思っている心に浸かっていただけだった。
「…お客さんだからですか」
「いや…」
「じゃあなんなんですか！私じゃなんでダメなんですか！」
何故か私は透真さんに対して怒鳴っていた。
周りには人が沢山いて、「え、喧嘩？」「仲良くしろよな」とか、冷たい言葉をかけてくる。
今は、そんなの気にしないくらい頭に血が上っていたらしい。
「俺には…大切な人がいるので、貴女をそういう目では見れないんです」
＿＿＿＿＿
呆気なく失恋した。
この夏を、この年を少しでも輝かせることが出来るかも思っていたけど、今年はもう諦めた方が良さそうだった。
.
「忘れられないよ、こんなの」
頬に伝う涙は地面に零れ落ちて水溜まりを作った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 21人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
葉月(プロフ) - 私も圭一郎好きです！ (2018年8月29日 16時) (
レス) id: 62a5f394e4 (このIDを非表示/違反報告)
ながつき かよ(プロフ) - 、さん» 教えて頂きありがとうございます…！オリジナルフラグになってたの気付かなくて、すみませんでした…。以後気をつけます！ (2018年8月22日 8時) (レス) id: 48a2af0add (このIDを非表示/違反報告)
、 - オリジナルフラグちゃんと外しましょう。違反行為です。ルールをちゃんと守りましょう (2018年8月22日 3時) (レス) id: 0334701550 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まろこ | 作成日時：2018年8月22日 1時
