俺が欲しいって言わせるまで【ブルーロック】

芸名は葉瀬。本名は長谷川です。 ページ7

私の芸名は葉瀬 A。本名は長谷川 A。


少しずつだけどお仕事が貰えるようになってきて、セリフが数えられるくらいしかない役だったけどドラマのお仕事も控えてる。1歩ずつ、1歩ずつ私というエンターテインメントが走り出している気がしてた




だけど現実は上手くいかない。
特に芸能界はいかに爪痕を残せるか、人の記憶に植え付けるかが大事だと思っている。
歌番組の収録では、全然上手く出来なかった。
上手くコメントも残せなかった。




私に比べて糸師選手はそもそもそのビジュアルから女性人気も既についてるし、コメントもぶっきらぼうだけど的をついてて華があるし







「お疲れ様ですー」






収録が終わり、一人先に楽屋に戻る。
お仕事が少しずつ増えるのは嬉しいけどその度に実力が無いことを思い知らされる。







「……おい。」


「……お疲れ様です」






声をかけてきたのは「性悪下まつげ」=(つまり)「糸師選手」





「すみません。私、気の利いたコメント出来なくて」


「は？」


「サッカーでも撮影でもコメントでも一流で糸師選手はすごいなって。私、全然ダメだなって。思って。」


「……はぁ」






人が涙を貯めながら話してるのにため息とは無慈悲な。
慰められたい訳じゃないけど、ちょっと酷い





「…泣いてたら次の仕事に支障出んじゃねぇの」


「……今日は仕事もうありません」






凛は困っていた。
兄弟に女はいない。女の扱いも正直よく分からない。
キャーキャー奇声を発してる女は全部シカトしてきたから



泣いてる女を目の前に、凛はどう声をかけていいか分からなかった。ただ、何となくこいつをこのままにして楽屋を出られない。







「……俺、次あんだけど」


「私に構わずどうぞ。足止めちゃってすみません…」


「…っち。そーじゃねぇって」













「早く泣くのやめろ」







私はここで凛の優しさに気がついた。
私が泣くのを待ってくれてたんだ。言葉にはしないけど。
その瞬間、凛の優しさに触れた瞬間、貯めてたものが溢れ出る






「う〜、」


「っ！？」






凛はもうお手上げだった。
女はすぐ泣くし、うじったらしいし。



女のテンプレートみたいな女だな。こいつ








「……糸師選手、優しい〜…」


「……は？」

連絡来ない。→←糸師選手

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