俺が欲しいって言わせるまで【ブルーロック】

糸師選手 ページ6

「さっきの」


「！み、見てたんですか…！」


「あんな下手な撮影、嫌でも視界に入る」


「……っ……じゃ、じゃあ教えて下さい！上手くポーズとる方法！」


「は？」


「そ、そこまで言うなら！下手なの自覚ありますけど！コツくらい教えて下さい！」





自分でも下手だしカメラマンさんやメイクさんに迷惑かけたと落ち込んでたのに楽屋に戻ってきてとどめの「ヘタクソ」とまで言われちゃ黙っておけなかった





「なんで俺が」


「下手は下手なりにこれから努力するんです！だから貴方が私の努力の1歩目！コツを教えて下さい！」


「んな面倒なことやる訳ねぇだろ」






性悪下まつげ。凪くんの言う通りだ。
人がここまでお願いしてるのにこんなこっぴどく押し返すなんて。





「お願いです…！楽屋のお弁当、私の分あげますから…！」


「は？要らねぇよ」


「お好きな飲み物買ってきますから！」


「自分で考えろ」


「だって、ここで「今日の自分ダメだった」って終わらせたくないんです。何か一つ、いや3つ学んで帰りたい」






人に頼むのだって立派な自分への成長に繋がる。
私は大した才能もないし、女優の道だってやっとオーディション受かって、お仕事も少しずつ貰えるようになって。
でもお仕事の依頼が来る度に自分の実力不足と向き合わされた。





「少しだけでも…」





糸師選手は私にわざと聞かせる為のような大きなわざとらしいため息をつく。やっぱりダメか、と思った時





「まず動きが硬い。ポーズが単調。ガキの写真撮影会みてぇ」


「…！」


「人間の体のラインを生かせてない。体の構図の勉強からし直してこい」










「糸師選手…ありがとうございます…！」


「！んだよ急にでかい声出すなバカ」


「糸師選手って性悪下まつげで怖くて人を見下すひねくれ者と聞いてたんですが、」


「おい。ふざけんな。」


「本当は優しいんですね」







私はこの時、糸師選手の見えづらい優しさに触れた気がした。ただ、やっぱり怖い。






「糸師 凛さん、葉瀬 Aさん、次の収録お願いします」


「……糸師選手、次の収録も同じですか？」





「出演者リスト見とけ、バカ」

芸名は葉瀬。本名は長谷川です。→←撮影をこなす下まつげ

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