この人と義兄妹になったら波乱の予感しかしない... (ページ2)

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私にはお父さんがいない。

小さい頃に事故でお父さんが亡くなってからお母さんはずっと1人で私のことを育ててくれた。

お母さんは「不自由な思いさせてごめんね」と謝るけど、私はそんなこと思ったことないし、なんならお母さんの自由を奪っていたのは私だと思う。

お母さんにはもっと自由に生きてほしかった。
だから「再婚したい」と言ってくれたとき、私はとても嬉しかったんだ。

𓂃 𓈒𓏸𑁍1週間前𑁍𓏸 𓈒𓂃

母「ねぇA、少し話があるんだけどいい？」
夕飯終わりにお母さんが私を呼んだ。

貴「ん？どうしたの...そんなに改まって」

母「その...実はね、お母さん...お付き合いしている人が、いるの。...結婚を前提に」

貴「...うん」

母「相手の人もね、奥さんを早くに亡くしてしまったんだって。息子さんも1人いるみたいなの...」
お母さんは少し間を置くと、意を決したようにこちらを見た。

母「それでね、本当に急でAには申し訳ないんだけど...そろそろ結婚してもいいかなって、相手の人と話してるの。でも、再婚するなら私1人の問題じゃないでしょ？Aにも関係することだから...」

貴「...うん。ねぇ、お母さん」

母「...」

貴「お母さんはもっと自由にしていいと思う。もう縛られないで？...それに、私が嫌だとか駄目だとか言うと思う？」

母「...ううん。ありがとうA」
お母さんは笑顔でそう言った。

貴「ねぇねぇ、その相手の人ってどんな人なの！」

母「折原千尋さんって言う方なんだけどね、京都訛りの人なの、」

貴「へぇ〜！京都の人なんだね〜」
相手の人の話をするお母さんは、とても幸せそうだった。

母「あ、そうだ。それでね、お子さんも呼んで顔合わせついでに食事をしようって話になったのよ」

貴「うん、わかった。それで顔合わせって、いつ？」

母「来週の金曜日の夜って話になったんだけど、A空いてる？」

貴「学校の後でしょ？空いてるよ」

この時はまだ、あの人と義兄妹(きょうだい)になるなんて...微塵も考えてもいなかった。