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凪「Aみーっけ」
『………誠士郎、おはよ』
凪「おはよ。つか、なんでそんな泣きそうな顔してんの?誰かになんかされた?」
『ううん、違くて。なんでもないの。』
凪「ならいいけどー」
このノッポは凪誠士郎、私の幼なじみだ。幼い頃、私がなにもかも嫌になって家出をして泣いていた時に出会った人。ある意味、誠士郎がいなきゃ私は壊れていたかもしれない。私にとって大切な人。
凪「ねーA、今日俺ん家来ない?」
『うん、いいよ』
放課後、いつも通り誠士郎と一緒に帰っていると、なんとなく熱を帯びた目でそう言われた。
私たちはただの幼なじみじゃ、ない。
凪「またあのお金持ちの人のことでメソメソしてんでしょ」
『はは、誠士郎にはバレバレだね。』
凪「当たり前じゃん。Aは顔に出やすいから見てたら分かる。」
『…………全部、忘れさせてよ、』
凪「ん、りょーかい」
玲王くんのことが好きな私と、私のことが好きな誠士郎。
私に好意を抱いている人の気持ちを利用するなんて間違っている。そんなことは百も承知。誠士郎はそれでもいいと言ってくれたんだ。
凪「可愛いね、すごい濡れてる」
『やだ………そんなこと、いわないで、』
凪「なんで?事実じゃん。」
『っ………ひ、ぅ、』
凪「ねぇ早く俺のこと好きになりなよ。」
寂しそうな顔でそう言ってくる誠士郎に胸が痛んだ。私だって、玲王くんのことなんて忘れて、誠士郎を好きになりたいよ。
凪「え、もう帰るの?」
『うん。お母様とお父様が心配しちゃうから。』
凪「そっか………また来てね。それと、Aが俺のこと好きになってくれるまでずっと待ってる。」
こんなに私だけを見てくれる人、他にいない。だから誠士郎と付き合えたら幸せなんだろうなって本気で思う。それなのに私はいつまで経っても、叶わない恋をしている。
御「あれ、A!?まだ帰ってなかったのか!?」
『れ、玲王くん………!』
御「危ねぇだろ、こんな時間に女一人で出歩くとか」
『別に大丈夫だよ。』
御「はぁ………マジでお前危機感なさすぎ。いいから俺に送られとけ。」
『…………玲王くん、ありがと、』
御「つか、こんな時間までどこ行ってたんだよ。誰かと一緒だったのか?」
『まぁね。』
御「(男もんの匂いがする………こいつ、彼氏いたっけ?)」
もしも、私が姉さんなら男と一緒にいたって言えば嫉妬のひとつくらいしてもらえたのかな。
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未来 - 面白いです!続きを待ってます♡ (11月13日 18時) (レス) @page3 id: 289a124293 (このIDを非表示/違反報告)
咲夜(さくや)(プロフ) - 続き楽しみにしています。更新頑張ってください (11月13日 17時) (レス) id: f2b60f62ba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆ | 作成日時:2023年11月12日 19時