episode2 ページ2
.
財閥のご令嬢、なんて聞こえはいいが、私は最悪だと思う。幼い頃から勉強にダンスに習い事………したくもないことをたくさんさせられた。成績が良くても、ダンスが上達しても、褒められることなんてなかった。これくらいのことできて当然だから。
一方で、5個上の姉は自由に生きていた。家のことに従いたくないとお見合いは断るし、お父様やお母様の言うことを聞いているのはほとんど見た事がない。だから私にばかり期待やプレッシャーがかけられる。
『姉さん、またどこか行くの?』
千「まぁね。ごめんね、Aにばかり苦労かけさせて。」
『………ううん、大丈夫だよ。』
千「Aが妹でよかったわ。」
私の姉、白百合千夏は出来のいい妹を持って姉さんは幸せだとよく言う。私の心のうちに秘めた思いなんて知るはずもないんだろうな。
母「千夏ったらまたレッスンを放ったらかしにして、どこへ行ったのかしら………」
父「全くだ。Aがいてくれてよかったよ。」
母「A、勉強の時間よ。」
『………はい、』
私だって姉さんのように自由に生きれたらいいのにな。
ピンポーン
『!………玲王くん、』
御「お、A!千夏さんいる?」
『………姉さんはさっき出掛けたよ。』
御「クッソ、またかよ。千夏さんいつになったら俺とデートしてくれんだろ。」
御影コーポレーションの息子である御影玲王くん。白百合財閥とは縁がある仲で、私は彼のことが好きだったりする。だから高校も玲王くんと同じ白宝高校にしたし、髪も伸ばして、綺麗に手入れだってして、玲王くんに近付けるように頑張っている。
それなのに、玲王くんは千夏姉さんしか見ていない。私のことなんて眼中にもないんだ。
御「Aどうした?なんか元気なくね?」
『………なんでもないよ、』
御「こーら、一人で抱え込むなっていつも言ってんだろ。いいから俺に話してみ?」
『玲王くん』
御「ん?」
『わたし………私も、姉さんみたいに自由に生きてみたい、』
御「っ!」
ずっと隠していた本音を人に話したのは初めてだった。こんなの願ったところで叶うわけないから。私が生きる意味ってなんだろう。
.
59人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
未来 - 面白いです!続きを待ってます♡ (11月13日 18時) (レス) @page3 id: 289a124293 (このIDを非表示/違反報告)
咲夜(さくや)(プロフ) - 続き楽しみにしています。更新頑張ってください (11月13日 17時) (レス) id: f2b60f62ba (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゆ | 作成日時:2023年11月12日 19時