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Taisei side
やってもうた、と思った。
何回も何回も「誰が好きでも関係ない」「俺が好きやから隣におりたい」「絶対こっち向かせたる」って前を向いても、こんなふうに醜い感情を出してしまうのは、また後ろを向いている証拠。
俺になくて小島にあるのは、Aの後ろでドシッと構える包容力や。これだけははっきりとわかる。
俺もそんな小島に、いっぱい助けられてきたから。
福「はい、着いた、で…って」
あれからも何気ない話を続けるAに最初はうんうんと相槌を打ってたけど、モヤモヤと自己嫌悪を感じた俺は徐々にその相槌すら薄くなっていった。
そんな俺に気づいたんか、Aはいつの間にか話すのをやめて、窓の外やスマホを見つめて。
でも口はずっと動いたまま。流れるBGMを口ずさみ続けた。
福「静かになったことも気づかんかったわ、情けな」
変な空気にしてしもたお詫びなのか、ただ俺が来たかったのかはわからんけど、窓の外にはきれいな夜景。
窓側にもたれて眠るA越しにそれを見たら、ちょっとずつ冷静になってきた。
福「はあ、俺なにしてんねやろ」
俺ってこんなにネガティブな人間やったっけ。それぐらい必死ってことなんやろうけど。
今日こじけんを置いてきたのは、寝てたからじゃない。あいつも行く気やったし、起こして連れてくることも全然できた。まっさんからの連絡も、返ってこんかったらいいのにって。
2人きりになりたかったから、そうして来たのに。
「ん…」
寝返りをうつかのように、窓側からこっち側に体を傾けたA。珍しく、その口は閉じている。いつもヨダレ垂らすぐらい、ぼかんと口開けて寝るのに。
そんなに嫌か、俺に素を出すのが。
「…ん、ん！」
福「静かにして」
「ちょ、たいせ、く」
福「口、開けて」
「え、ちょっ」
はあ、と呼吸をする声が漏れて、ああこいつ、もうだいぶ慣れてしまったんやなって。
それがまた、俺をおかしくさせるんや。
「や、あかん」
福「あかんくないやろ」
「あかんって、なあ」
福「舌、出して」
「も、むり、あかん」
俺の肩を突っぱねる腕の力が弱まった一瞬の隙をついて、Aの体を引き寄せた。
「…なんで」
福「したかったから」
「したかったからって…」
福「キスでもしな、もう無理やってん」
本人すら気づかん気持ちを、見て見ぬふりをすることが。
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リリー(プロフ) - わさび醤油さん» コメントありがとうございます。労いの言葉、うれしいです😭ここまで読んでくださりありがとうございます！ぜひ引き続きご愛読いただけますと幸いです☺️ (2022年9月27日 8時) (
レス) id: 17cd2db3b1 (このIDを非表示/違反報告)
リリー(プロフ) - めぐさん» コメントありがとうございます。ここまで読んでくださりありがとうございました！ぜひ、いろんな伏線があったので読み返してみてください☺️大好きだなんて…！🙇♂️次回作でもお待ちしております！ (2022年9月27日 8時) (レス) id: 17cd2db3b1 (このIDを非表示/違反報告)
わさび醤油(プロフ) - 本編完結おめでとうございます。お疲れ様でした。とても面白かったです。今後も楽しみにしています。 (2022年9月25日 4時) (レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
めぐ(プロフ) - 本編完結おめでとうございます！終わってしまい寂しいのと、続きがある事が嬉しくて楽しみなのと😌完結したら最初から読み返そうと決めてたので、結末を知った上で読んでこようと思います！リリーさんもあなたに夢中。も大好きです☺️💕 (2022年9月25日 0時) (レス) id: 19a0d7c3e3 (このIDを非表示/違反報告)
リリー(プロフ) - まきさん» コメントありがとうございます。驚かせてしまってすみません😭「寂しい」だなんて、本当にありがたいお言葉です…。ぜひ次回作も楽しみに待っていていただけるとうれしいです☺️ (2022年9月24日 12時) (レス) id: 17cd2db3b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リリー | 作成日時：2022年3月22日 20時
