あなたに夢中。Ⅱ (ページ43)

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Masaya side

正「A、家着いたで」

「ん…すいません、寝てました。今日もありがとうございました。おつかれさまでした」

末「あんなけ夢みとったのに寝起き良すぎやろ」

福「今日はゆっくり休みや」

小「あれ、大晴今日は来んのか」

福「明日早朝ロケやし家帰るよ」

佐「あの、僕もここで降ろしてもろていいですか？」

「え？」

リ「Aんち行くの？」

佐「ちょっとだけ、行かせてください」

驚いた顔で俺を見る、メンバーとマネージャー。

あかんって言われそう。でも俺には、どうしてもAちゃんの家に行きたい理由があった。

小「…俺もおるし、ええんちゃいます？明日3人ともオフやし」

「わたしも全然OKやで！」

何かを察した小島くんがそう言ってくれたおかげで、ロケバスを降ろしてもらえることになった。

「晶哉くんがうちに来たがるの、めずらしいな」

佐「そうですか？来れるんならいつでも来たいよ」

小「A、先風呂入ってきいや。寝てまうやろ」

「そうするわ～」

一緒に住み始めて1か月が経とうとするAちゃんと小島くんは、前よりもさらに仲がよくなっているというか。

佐「なんか2人、夫婦みたいになりましたね」

小「ほんま？なんも変わらんで、俺らは」

そう言ってエアコンの電源を入れる小島くんの後ろ姿は、ちょっと寂しそうに見えた。

小「…ほんで？俺に話があるんやろ」

Aちゃんがお風呂に入ったのを確認して、俺の向かいに座る小島くん。

なんでわかったんやろ。Aちゃんやなくて、小島くんに話があるって。

きっと他のメンバーは、俺がAちゃんに用があって車を降りたって思ってるはずやのに。

佐「やっぱ小島くんには勝てへんなあ」

小「晶哉が勝ててることのほうが多いけどな」

佐「そうかなあ」

お笑いとか、立ち振る舞いとか、小島くんには負けたくないことばっかりで。「この人には勝てへん」って思うことが多かった。

それがもう1つ増えてしまった。

でもこれは、俺が選んで増やしたことやから。

佐「小島くんは、Aちゃんとどうなりたいですか」

小「どうって」

佐「Aちゃんのこと、好きですよね」

ここでいつもみたいに「あんな男みたいな女嫌やわ」とか言うたら、俺はもう引かへん。

でももし、小島くんが本気なら。

小「好きや。あいつには俺しかおらんと思ってる」

俺はもう負けを認める。